不溶性フィブリンの特異構造を発見
独立行政法人国立がん研究センターは10月7日、「今、治療の必要ながん」と「様子をみてよい腫瘍」を判別する手がかりを発見したことを発表した。
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研究グループはがんが周囲の血管を破壊し出血が起こることでできる不溶性フィブリン塊に着目し、不溶性フィブリンだけにある3次元の特異構造を発見。さらにこの構造だけに付着する抗体の作製に成功した。
2~3年後に治験を想定
この構造は怪我や梗塞、急性炎症などでできるフィブリン塊のような可溶性の状態では、たんぱく質の構造や分子内の相互作用によって閉鎖されている。これに対し不溶性の状態ではマウスからヒトまでその構造が保たれていることが、明らかになったという。
研究グループはこの特異構造に付着する抗体を作製することにも成功。担がんマウスにこの抗体を認識するプローブを用いて造影検査を行った結果、悪性度の高い脳腫瘍の陽性率は100%、他のがんにおいても難治がんほど陽性率が高いことが判明した。
プレスリリースでは
ヒトにおいても有用かどうかは治験で検証する必要がありますが、すでにキメラ抗体の作製に成功しており、今後2~3年で治験に持ち込むことを想定しています。(国立がん研究センター プレスリリースより引用)
と述べられている。(小林 周)
▼外部リンク
独立行政法人国立がん研究センター プレスリリース
http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_201310