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児玉日薬会長「一般薬販売、早急な法整備を」

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2013年10月17日 AM09:00


■次期改定は地域医療貢献が柱

厚生労働省の「スイッチ直後品目との検討・検証に関する専門家会合」が、28品目については丁寧かつ慎重な販売を求めるなどの留意点をまとめたことを受け、日本薬剤師会の児玉孝会長は10日、定例記者会見で「専門家の意見を尊重するのは当たり前のこと。今後諸手続を経て、臨時国会で審議されると聞いているが、重要法案が多くある中、国会会期が非常に短いことが心配。しっかり審議してもらいたい」と述べた。さらに、「最近では期限切れの一般薬がネットで販売されるなど、無法状態にあり健康被害等が起こるのではないかと心配だ」とし、早急に法的整備が進むことを求めた。このほか、来年度の調剤報酬改定、消費税への対応などについて所見を語った。

児玉氏は、次期診療報酬改定について触れ、「社会保障制度改革の方向性が従来の病院完結型から地域完結型にシフトする。また、自助自立が求められる中で、薬局の医療保険、福祉・介護の観点からどう貢献していくかが重要。特に在宅医療に関する貢献が必要であり、介護職や関連職種とどう連携していくかが大きな柱。また、地域住民の健康をいかに確保していくかが二番目の柱」とし、この二つが日薬としての調剤報酬改定の焦点になるとした。

また、厚労省は来年度概算要求でセルフメディケーションにおける薬局の役割に対して3億円近くを計上したが、これは日薬が目指す方向と合致しており「非常に心強い」と述べた。さらに、地域完結型医療への取り組みを含め「国民、社会が求めていることにわれわれが対応していくことが基本的な方針。この完成のためには最低でも2回の改定を経る必要がある。(保険でやっていく場合には)その方向に合わせ、しっかり対応する必要がある」と、今後の地域薬局の方向性にも言及した。

一方、消費税が来年4月から8%に引き上げられるが、「国民皆保険制度を守る観点から、費用がかかるので税率アップの必要性は理解している。ただ、今後順次税率がアップしていくことになるが、現在の非課税制度に関しては是正してもらいたい」との考えを改めて示した。

中央社会保険医療協議会委員の三浦洋嗣副会長が、次期調剤報酬改正に関しコメントした。まず、都道府県薬剤師会から寄せられた要望事項の取りまとめ状況に触れ、GE薬の使用促進に絡む3段階の施設基準、調剤基本料と一包化加算等について、そのあり方、評価の仕方への要望が多かったとした。

リフィル処方箋に関しては、「場合によっては法改正も必要となり、今回の改定では難しい。ただ、長期処方については安全性や残薬の問題が指摘されている。薬局側では分割調剤での対応もあるが、現状では様々な問題、課題があり、仕組みをきちんと作る必要がある」と述べ、長期処方に絡む問題解決という観点から分割調剤の環境整備が一つの焦点になり得ることを示した。

さらに、「地域完結型医療の推進に向け、どのような薬局を目指すかという方針を立てた上で、診療報酬上評価を求めるか検討していく」とした。

これに関連して生出泉太郎副会長が、現在検討を進めている薬局グランドデザインについて、「1997(平成9)年にグランドデザインを作成した時とは状況が大きく変わっている」とし、名称そのものも検討対象となっていることを明かすと共に、来年6月の総会での公表を目標に、2月には暫定版を出したいとの意向を示した。

このほか、日本OTC医薬品協会が7日付で、田村厚労大臣に、一般用医薬品のスイッチ承認審査迅速化の要望書を提出したことについて児玉氏は「切れ味の良い薬を提供するのは薬剤師の役割であり、スイッチを推進すべきという立場にある」と、同協会と同じ方向を向いているとした上で、要望では承認審査から薬剤師会等を外すなどの記載がある点を問題視し、9日付で、その真意を質す書面を送ったことを明かした。

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