国産初、止血管理用バイパス製剤
各種ワクチンや血漿分画製剤などの研究・開発および製造・供給を手がける、一般財団法人 化学及血清療法研究所(化血研)は、インヒビターをもつ血友病患者向けの止血管理用バイパス製剤(一般名(予定):乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第VII因子)の製造販売承認申請を、10月7日付で行ったと発表した。
血友病患者においては、一定の割合で、凝固因子製剤の投与を継続するうちに、投与された第VIII因子、第IX因子を異物として認識し、これらに反応する抗体、インヒビターを産生することがある。インヒビターを保有する患者となった場合、投与した凝固因子が中和され、製剤の効果は失われてしまう。
よって、通常そうしたインヒビターを保有する血友病患者では、止血管理にあたり、バイパス製剤を用いる。バイパス製剤には、それぞれ作用機序が異なると考えられている、血漿由来の活性型プロトロンビン複合体製剤(APCC)と、遺伝子組換え活性型第VII因子製剤がある。
(画像はwikiメディアより引用 参考イメージ Foto von Andreas Bemeleit)
持続性ある高い止血効果、回数・容量削減でQOL向上目指す
化血研が今回申請を行った乾燥濃縮人血液凝固第X因子加活性化第VII因子は、活性化人血液凝固第VII因子に人血液凝固第X因子を混合した、新しいタイプのバイパス製剤であるという。
希少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)の指定を受けているほか、国産初の血友病インヒビター治療用製剤として注目されており、国が進める血液製剤の国内自給化施策に沿う、国内供給体制の向上に寄与するものとなると考えられる。
化血研では、同剤について、持続性のある高い止血効果と、投与回数・投与容量の削減による患者QOLの向上を目指して開発を行ってきたという。申請は2006年11月から進められてきた臨床試験結果に基づくものであり、インヒビターを保有する血友病患者での有効性と安全性を確認している。(紫音 裕)
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一般財団法人 化学及血清療法研究所 プレスリリース
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