科学技術振興機構課題達成型基礎研究の一環として
独立行政法人科学技術振興機構(JST)は10月1日、人工細胞を使って膜たんぱく質を進化させる技術を開発したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
これは大阪大学大学院情報科学研究科・四方哲也教授、工学研究科・松浦友亮准教授の研究チームが、JST課題達成型基礎研究の一環として成功させたもの。たんぱく質合成に必要な物質を内封した人工脂質二重膜小胞(リポソーム)内で、その人工細胞膜上に膜たんぱく質が組み込まれることを発見、人工細胞の外部から内部へ物質が取り込まれる膜たんぱく質の活性も確認されたという。
さまざまなたんぱく質に適用することが可能
研究グループは、膜たんぱく質の遺伝子に変異を導入した集団のなかから、より高機能な膜たんぱく質をコードする遺伝子を選択してくることにも成功。この手法を使うことでα―ヘモリシンの機能を約30倍も人工的に進化させることにも成功し、この高機能α―ヘモリシンはこれまでに開発されているα―ヘモリシンを利用したDNA配列解析機能を高性能化させることが期待されるという。
この手法は「リポソームディスプレイ法」と名付けられ、さまざまな膜たんぱく質に適用することを可能とする。特定の物質を高い選択性で通過させることができる膜たんぱく質を使った高性能バイオセンサーの創出や、膜たんぱく質に強く結合することで機能を阻害する新しい薬の発見など、波及効果も期待されるとしている。(小林 周)
▼外部リンク
独立行政法人科学技術振興機構 ニュースリリース
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20131001-2/index.html