日本でもお年寄りに多く見られる白内障。手術を受けた人たちと白内障にかかっても手術を受けなかった人を比較すると、手術を受けた人の方が長生きするという興味深い状況が、オーストラリアの調査で明らかになりました。論文は、2013年9月に、専門誌「Ophthalmology」に掲載されました。
(画像はイメージです。RTP411/FreeDigitalPhotos.net)
分析の対象となったのは、1992年から2007年の間に白内障の診断を受けた、49歳以上の354人です。全員が、何らかの視覚障害を持っており、このうちの約8割の人が、白内障の手術を受けていました。
白内障にかかっていて、手術を受けた人のその後の長期的な死亡危険率(ある一定の期間に死亡するリスク)は、白内障にかかっていても手術を受けなかった人と比較して4割も低下する結果となっていました。これまで行われていた研究では、白内障にかかっている人は、かかっていない人よりも死亡危険率が高いことが示されており、白内障の手術をすることで、死亡危険率が減少する可能性があるのではないかと言われていました。
今回の調査では、白内障の手術が死亡危険率の低下にどう関わっているかまではわかりませんでしたが、調査チームでは、視力障害が快復することで、総体的な健康度がアップするためではないかと考察しています。
白内障は直接的に命にかかわるような病気とは認識されていないので、受診や治療を後回しにしてしまうこともあるかもしれません。今回の報告は、その時々の健康上の問題に対して、こまめに対応していくことが、生活の質を高めるうえで大切だということを改めて教えてくれました。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Correction of Visual Impairment by Cataract Surgery and Improved Survival in Older Persons
http://www.aaojournal.org/
Study Shows that People Who Undergo Cataract Surgery to Correct Visual Impairment Live Longer
http://www.newswise.com/articles/