厚生労働省の「スイッチ直後品目等の検討・検証に関する専門家会合」は8日、医療用から一般用に転用された直後の医薬品や劇薬指定の一般薬計28品目を薬局や店舗などで販売する際の留意点をまとめた。スイッチ直後品目の特性について、「本来の一般用医薬品とは別の医療用に準じたカテゴリーのものとして認識すべき」とし、薬剤師と購入者の臨機応変なやりとりを通じた「丁寧かつ慎重な販売」を求めた。また、使用者以外への販売を認めないことや、大量・簡便に購入できないような流通の仕組みも提案した。具体的な販売手法については、厚労省が専門家会合の報告書と「一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ」がまとめた販売ルールを踏まえて検討する。28品目がインターネットで販売できるような仕組みになるかどうかは不透明だ。
報告書では、スイッチ直後品目について、「医療従事者による厳格な管理から外れた直後で、新たな健康被害・有害事象が発現する恐れがある」と指摘。薬剤師と購入者の双方向での臨機応変なやりとりを通じて、使用者の状態の確認や、適切な指導と指導内容の確実な理解の確認を行った上で販売するなど、「医療用に準じた最大限の情報収集と、個々人の状態を踏まえた最適な情報提供を可能とする体制を確保した販売が求められる」とした。
販売時の留意点として、使用者は自らの症状の程度や状態を正しく判断・申告できない恐れがあることから、購入者が服用している医薬品や健康食品との相互作用なども含めて薬剤師が状態を把握し、2回目以降の販売時には効果と副作用をチェックする必要があるとした。
また、購入者が薬剤師による指導内容を確実に理解したことを確認した上で販売することの重要性を指摘。多量・頻回購入を防ぐために個数制限を設けるほか、使用者以外の代理人への販売や症状が出ていない常備薬としての購入は認めないよう求めた。代理人による購入希望があった場合、医療機関への受診を促したり、類似の薬効を持つ別の一般薬を勧めることが適当とした。
劇薬指定5品目については、毒性の強い成分で安全な取り扱いが必要とし、販売の際にスイッチ直後品目と同様の留意を求めた上で、「購入希望者の挙動も十分、観察する必要がある」とするなど、新たな規制強化も提案している。
厚労省は今後、新たな販売ルールの策定を進め、秋の臨時国会に薬事法改正案を提出する予定だが、頭痛薬「ロキソニンS」や抗アレルギー薬「アレグラFX」などには、これまで以上に厳格な販売ルールが課せられることになりそうだ。