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近畿大・広島大などの研究グループ 世界で初めて肺気腫の発症メカニズムを発見

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2013年10月10日 PM09:18

近畿大、広島大、東京大の研究チームが発見

近畿大学医学部病理学講座主任教授の伊藤彰彦氏と、広島大学原爆放射線医科学研究所助教の見前隆洋氏らの研究チームが、世界で初めて肺気腫の発症メカニズムを発見したと発表した。この研究成果は英医学誌の「Thorax」(ソラックス)オンライン版に、現地時間の10月2日付で掲載された。

これまで、肺気腫患者の8割以上が喫煙者であるため、タバコの煙のなかに含まれるオキシダントが肺胞破壊の原因となると考えられてきたが、その詳しい発症メカニズムは明らかになっておらず、なぜ肺胞上皮細胞が死滅し、肺胞壁の破壊が進行するのか、よく分かっていなかった。

(画像はプレスリリースより)

肺胞上皮細胞の死滅機序を明らかに

発表によると、近畿大学、広島大学、東京大学が参加する研究グループは、肺気腫ではタンパク分解酵素が活性化しており、細胞側面の表面に固有の、細胞同士をつなぎとめている、CADM1と呼ばれるタンパク質接着分子が、細胞表面付近で次々に切断されていることを突き止めたという。

この切断により、肺胞上皮細胞の側には、切断された切り株のようなものが溜まっていくこととなる。この切り株が、細胞内を移動してミトコンドリアに集積し、ミトコンドリアの膜電位の変化を引き起こしていた。この膜電位変化はアポトーシスの引き金になることが知られているが、やはりこの場合も、接着分子の切り株を強制的に肺上皮細胞につくらせたところ、その細胞のアポトーシスが誘導されたという。肺胞上皮のアポトーシスは、切り株のミトコンドリア集積量が一定の閾値を超えた場合に引き起こされていたため、この発見された分子機序は、肺気腫の病態が慢性的に緩やかに進行していくこととちょうど一致した。

よって今回の研究で、肺胞上皮細胞に固有の接着分子の切り株が、肺胞上皮細胞内のミトコンドリアに集積することで、肺胞上皮細胞の死滅を招くことが明らかとなった。研究グループでは、今後、逆にアポトーシスを抑制すれば肺気腫の発症を防ぐことができるかどうか、早急に動物モデル等で検証していく予定という。

確認されれば、接着分子切断を担う特定のタンパク分解酵素に対する特異的な阻害薬や、接着分子の切り株がミトコンドリアに集積するのを阻害する薬剤を開発することにより、肺気腫に対する画期的な治療薬が生まれる可能性があるとしている。今後の研究と開発に期待したい。(紫音 裕)

▼外部リンク

近畿大学 プレスリリース
http://www.kindai.ac.jp/topics/assets_c/2013/

Thorax 該当研究論文掲載ページ
http://thorax.bmj.com/content/early/2013/10/02/

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