厚生労働省は7日、高額療養費の所得区分を細分化した給付見直し案を、社会保障審議会医療保険部会に示した。最も自己負担の限度額を引き上げた場合、上位所得者の負担は現行制度に比べて約2倍増えるが、一般所得者で年収が低めの人は約2~3割負担が軽くなる。厚労省は2015年1月から見直し案を実施したい考えだが、最も重い負担を強いられる全国健康保険協会(協会けんぽ)からは強い反対意見が出た。
見直し案は、70歳未満で一般所得者の年収約370万~約570万円を現行の8万0100円に据え置き、新たに一般所得者で年収が高めの約570万~約770万円の人の上限額を12万2400円に引き上げるもの。その上で、年収約770万円以上の上位所得者の所得区分を四つに分ける[案1]と二つに分ける[案2]を示した。
案1は、最高で年収約1510万円以上の上限額を現行15万円から約2倍増の32万2500円に引き上げ、案2は年収約1160万円以上の上限額が25万2600円と約10万円の負担増となる。これに対し、一般所得者より年収が低めの約310万~約370万円の人は6万2100円などと、いずれの案でも2~3割程度の負担減となる。
70~74歳については、新たに年収約570万円以上の区分を設定し、上限額を現行8万0100円から12万2400円に引き上げるほか、医療費の自己負担を2割に戻すことに伴い年収約310万~約370万円の上限額を現行4万4400円から6万2100円とする一方、年収約310万円以下は1割負担を維持し、据え置きで対応するなどの案を示した。
見直しを実施した場合の財政影響は、案1では15年度で給付費は約320億円、保険料負担も約130億円増えるが、案2は給付費を約70億円に抑え、保険料は約30億円の負担減となり、最も財政中立に近い案となる。
厚労省は70~74歳の自己負担2割と高額療養費見直しを行った場合、19年度に給付費が最大約1310億円減る推計も示した。