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ノバルティス ルキソリチニブを骨髄線維症治療薬として承認申請

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2013年10月08日 PM05:20

難治性疾患克服研究事業対象の希少疾患治療薬

ノバルティス ファーマ株式会社は9月30日、骨髄線維症の治療薬として、「」の日本国内における製造販売承認申請を、厚生労働省に対し、行ったことを発表した。

骨髄線維症は、同省より難治性疾患克服研究事業の対象として指定されている希少疾患。国内における現在の有病者数は約1,500人と推測されている。骨髄線維症患者では、脾臓の肥大やそれに伴う腹部の痛み、倦怠感・寝汗・体重減少・痒みなどの消耗性全身症状、貧血に伴う倦怠感・疲労感など、さまざまな症状が現れ、一般的に予後が不良であることが知られている。

現状、造血幹細胞移植による治癒の可能性があるものの、高齢の患者も多く、移植対象とならないことも多い。そうした場合、治療選択肢がきわめて限られたものとなることから、新たな選択肢を提供する薬剤開発等が急務であった。

(画像はwikiメディアより引用 Author : Tdvorak 参考イメージ)

JAK経路を阻害するチロシンキナーゼ阻害剤

骨髄線維症は、血球産生を調節するJAK経路における無秩序なシグナル伝達が原因で発症し、骨髄の瘢痕化や血球産生不全を引き起こすとともに、その他重篤な合併症を引き起こすとみられている。

ルキソリチニブは、JAK1およびJAK2を標的とするチロシンキナーゼ阻害剤であり、JAK経路を阻害するかたちで、この骨髄線維症の発症機序に直接作用、JAK変異の有無や疾患のサブタイプ、ハイドロキシウレア等による前治療の有無にかかわらず、肥大化した脾臓の縮小や患者における諸症状の改善をもたらすと考えられている。ノバルティス ファーマ社によると、これまでに実施された臨床試験の追跡調査において、生存期間を改善する可能性も示唆されているという。

同剤は、2011年9月8日に厚生労働省から、骨髄線維症を予定される効能・効果とするオーファンドラッグの指定を受けていた。今回の申請は、国際共同第II相臨床試験において事前に設定した主要評価項目を達成したことをもとに行われている。また、このルキソリチニブに関しては、現在、真性多血症に対して第III相の臨床試験も実施中となっている。 (紫音 裕)

▼外部リンク

ノバルティス ファーマ株式会社 プレスリリース
http://www.novartis.co.jp/news/2013/

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