独自開発の経鼻製剤化技術
株式会社新日本科学は、9月26日、同社の独自技術を応用した経鼻剤について、米国Transcept Pharmaceuticals, Inc.とライセンス契約を締結したことを発表した。
(この画像はイメージです)
偏頭痛治療薬の経鼻製剤
Transcept社は、神経科学領域の重要な治療ニーズに特化した専売医薬品の開発と商品化を行う製薬企業。契約対象は、新日本科学が独自に開発し、国際特許を取得している経鼻製剤技術を応用した偏頭痛治療薬であるジヒドロエルゴタミンの粉末経鼻製剤のライセンス。Transcept社は全世界においてこの製剤の独占的開発権と販売権を許諾。新日本科学は、契約一時金と、上市後の売上高などに応じた上限総額4,250万ドルのマイルストーン、売上高に対するロイヤリティーを受け取ることになっている。
Transcept社は、市販の点鼻液に比べて霊長類の試験で同製剤の薬剤吸収性が高いことから、同製剤の開発に着手することを決定したという。新日本科学は、同製剤の前臨床試験などを受託し、経鼻投与用デバイスを供給、Transcept社の同製剤の研究開発をサポートする。また、同製剤の契約対象であるジヒドロエルゴタミンをはじめ、治療ニーズの高い神経科学領域の他の薬物について、引き続き経鼻製剤化の応用性評価を実施するとしている。
治療ニーズの高い偏頭痛治療薬
偏頭痛は、米国では毎年約3千万人、日本でも約840万人が苦しんでおり、偏頭痛治療薬の世界市場は30億ドルを超えると言われている。また、偏頭痛の患者が働き盛りの年代に多いことから、速やかな頭痛の緩和と簡便な自己投与型の製剤が強く望まれている。Transcept社は来年にも同製剤の臨床試験を開始する計画で、従来の注射剤や点鼻液に変わり、簡易な方法で薬物を投与でき、確実かつ速やかに偏頭痛治療が可能となることが期待できるとしている。
高く評価されている経鼻製剤化技術
新日本科学の経鼻製剤技術は、薬物の鼻粘膜吸収性と吸収速度を高める粉体製剤処方技術と、鼻腔内に製剤を送り込む経鼻投与用医療デバイスから構成されており、複数の臨床試験から、その安全性と有効性が実証されている。また、様々な薬剤への応用も可能であるという。1998年から着手した経鼻製剤技術の研究では、糖尿病薬(インスリン経鼻製剤)や制吐薬(グラニセトロン経鼻製剤)、偏頭痛薬(ゾルミトリプタン経鼻製剤)等の臨床試験を独自に実施している。既に自閉症スペクトラム領域の治療薬や頭部外傷治療薬の経鼻製剤に関し、他の海外企業とライセンス契約を行っている。
同社は、基幹事業である医薬品の研究開発受託事業(CRO事業)に加え、本契約のような知的財産による収益を目指した研究開発型トランスレーショナルリサーチ事業(TR事業)にも注力し、事業形態を深化・発展させたいとしている。(長澤 直)
▼外部リンク
株式会社新日本科学 プレスリリース
http://www.snbl.co.jp/