多くの患者にとって、薬歴管理が「自身に任されている」状況
厚生労働省「平成23年受療調査」によると、同一施設の外来患者の8人に1人が複数科を受診しているという。このことから「複数施設(科目)を受診している」患者が少なくないことが推察される。
そこでリスクとして考えられるのが、病歴や薬歴情報の管理・活用不足による、いわゆる「飲み合わせの副作用」だ。現状、一部の地域を除いて、施設をまたいでの患者の病歴や薬歴情報の共有は行われておらず、患者の持つ「お薬手帳」が拠り所となっている。そこでQLifeでは、痛みの治療で整形外科を受診している患者を対象に「かかりつけ薬局」と「薬歴管理」の実態についてアンケートを行った。
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QLifeでは、「痛みの治療」で整形外科を受診し、かつ「高血圧」「胃、十二指腸潰瘍」「脂質異常症」「糖尿病」などNSAIDsの副作用リスクが比較的高い疾患を持つ患者を対象に、「痛み治療に関する情報提供について」アンケートを行った。
3人に2人が特定のかかりつけ薬局をもっていない
かかりつけ薬局について「ある」と7割の患者が回答したことに加え、そのうちの半数が「1か所」と回答。約35%の患者が「1か所のかかりつけ薬局を持っている」結果となった。これは、逆の見方をすると、「約3人に2人が特定のかかりつけ薬局を持っていない」と見ることもできる。
この結果について、筑波大学附属病院光学医療診療部長、病院教授の溝上裕士先生は、
整形外科では腰痛、関節痛などに対して痛み止め(NSAIDs)が処方されることが多いが、胃腸障害を高率に発症している。特に高齢者では複数の医療機関から多種の薬が処方されているにもかかわらず、3人に2人が特定(1つ)のかかりつけ薬局をもっていません。薬の飲み合わせや過量を判断するための薬歴が、散逸しています。そのため、『お薬手帳』が大変重要となりますが、患者の中には、複数の薬局で支給されたお薬手帳の情報を統合することなく、複数持ち続けていたり、さらには、“大事にしろ”といわれるがあまり、仏壇にしまってしまうなど、全く活用しないケースもありました。これからは、『正しいお薬手帳の使い方』を啓蒙することも重要です。
とコメントしている。調査はインターネットで2013年8月19日から2013年8月26日まで行われ、327人から回答を得た。(QLifePro編集部)
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