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豊橋技術科学大学と本多電子 超音波顕微鏡でがん細胞の可視化に成功

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2013年10月02日 AM10:12

超音波の反射を利用した顕微鏡を開発

豊橋技術科学大学は、本多電子株式会社と共同で、超音波を用いた音響インピーダンス顕微鏡でがん細胞を識別する技術を開発したと発表した。

(画像はプレスリリースより)

音響インピーダンス顕微鏡は、プラスチック基板に接する組織面の音の反射を利用し、音速と物質密度から組織の内部状態を視るというもの。脳の神経回路の発達、細胞分裂に伴う細胞内小器官の変化など、生きた細胞や組織を光や色素を使わずに可視化するという。

従来の腫瘍マーカーを参考にしたがんの診断は、腫瘍細胞を採取→組織を変成→0.01mmに薄切→色素染色で処理した後、細胞の内部構造の変化などを病理医が判断して下していた。細胞や核の形でがんを識別するため病理医の経験が不可欠で、組織採取から診断まで30分以上かかる。開腹して腫瘍摘出する際、これらは患者にとって大きな負担となっていた。

開発した音響インピーダンス顕微鏡でがん細胞を観察したところ、腫瘍の識別は容易にできたが、そのままではがん組織は識別できなかった。

亜鉛でがん細胞を可視化

がん細胞は硬さや弾性だけでの識別が難しく、がん細胞に特異的な音響物性変化を与える必要があった。そこで、亜鉛を取り込むがん細胞の性質を用いて、取り込んだ亜鉛で重くなり、高い超音波反射像を示すがん細胞を識別する技術を開発した。

NASH由来肝臓がんを発症したマウスから肝臓の腫瘍組織を摘出し、生理食塩液に浸したがん組織を測定後、亜鉛入り生理食塩水を滴下して測定した結果、がん細胞が存在する部分で音響インピーダンスが増加。一方、がん化していない腫瘍では音響インピーダンスは上昇しなかったという。

こうして今回、組織の中に分布するがん細胞を超音波で特定することに成功した。この技術は亜鉛の取り込みに2~5分、摘出した組織をそのままで画像化するため、患者に負担をかけずに正確な診断ができる。今後は、他のがん種についても高い精度で診断できる超音波造影技術の開発や、手術中にがん組織を識別するためにハンディ型の超音波顕微鏡などの開発を目指すとしている。(馬野鈴草)

▼外部リンク

豊橋技術科学大学 プレスリリース
http://www.tut.ac.jp/docs/20130912.pdf

本多電子株式会社 ホームページ(超音波顕微鏡)
http://www.honda-el.co.jp/

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