成長が期待される個別化医療領域に本格参入へ
検体検査分野を中心に、さまざまな製品やソリューション提供を行っているシスメックス株式会社は9月24日、ドイツのPartec社(パルテック社)と、同じくドイツのInostics社(アイノスティクス社)の株式を100%取得、買収することで合意したと発表した。
買収は、昨今の遺伝子解析技術の進展による新規医薬品や新たな診断法の開発が活発に行われ、より患者個人個人の体質に合わせた適切な治療法や薬剤の選択を細かく行う、個別化医療の実現が注目されてきていることをうけたもの。シスメックスは、この個別化医療の領域へ本格参入することを見据え、買収を通じて技術プラットフォームの拡充を行うこととした。
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FCM技術パイオニア企業と、がん遺伝子測定の先進技術保有企業
パルテック社は、ドイツ・ゲルリッツに本社を置く、診断機器及び試薬の開発、製造・販売を行う企業。研究領域で重要な、微細粒子を流体中に分散させ、細く流した流体において個々の粒子を光学的に分析する、フローサイトメトリー(FCM)技術のパイオニアとして知られる。このほか、新興国・途上国においては、HIV検査やマラリアなどの感染症検査で、とくに高いプレゼンスを保有しているという。
シスメックスでは、パルテック社のFCM技術と、長年シスメックスが培ってきたヘマトロジー分野の独自技術を融合することにより、同分野の進化を目指すとともに、これまでの販売・サービスネットワークも活用して、グローバル化を加速していくとしている。
アイノスティクス社は、ドイツ・ハンブルグに本社を置く、がん分野の血中遺伝子診断サービスを提供している企業。血液中のがん遺伝子を測定するための高感度PCR技術をはじめとする、先進的分子診断技術を保有している。
シスメックスは、これらの先進技術を自社技術と融合させ、個別化医療の基盤を構築することを目指す。まずは、アイノスティクス社がすでに受託しているアッセイサービスや、製薬企業と共同で推進している、医薬品の投薬前予測臨床検査、コンパニオン診断をグローバルに展開し、サービスの提供を行っていくとしている。 (紫音 裕)
▼外部リンク
Partec
http://www.partec.com/
Inostics
http://inostics.com/