センチネルリンパ節生検
慶應義塾大学医学部 外科学教室の北川雄光教授らの研究グループは、胃がんに対するセンチネルリンパ節生検が有用であることを証明したと発表した。
(画像はプレスリリースより)
リンパ節転移のない早期胃がんの場合、内視鏡で局所的切除をすればリンパ節郭清を省略しても治るが、リンパ節転移の有無を画像診断だけで判断することはできない。
リンパ節転移の有無を正確に知る方法にセンチネルリンパ節(見張りリンパ節)生検がある。固形がんから直接リンパ流を受けるリンパ節で、がんのリンパ節転移が最初に起こる場所とされる。センチネルリンパ節に転移が認められなければ、広範な臓器切除やリンパ節郭清を省略できる可能性があるとされている。
乳がんや皮膚がんではセンチネルリンパ節生検が保険適応となり、腋窩リンパ節郭清の省略により術後のむくみや神経障害を予防している。しかし、胃がんでは生検が可能かどうかは不明だった。
有用性を問う臨床試験を実施
今回、多施設共同研究参加の12施設(慶大、千葉大など)で、直径が4センチ以下、手術前画像検査でリンパ節転移がなく、がんの深さが漿膜下組織にとどまる早期の胃がん患者400例以上を対象にセンチネルリンパ節生検の有用性を検証した。
内視鏡で胃がん周囲の胃壁にトレーサーやラジオアイソトープを注入、手術中にトレーサーが入り込んだリンパ節をセンチネルリンパ節と同定して、がん転移の有無を病理検査で検討した。生検の結果、センチネルリンパ節が見つかる率は97.5%、リンパ節転移の正診率は99%、つまり早期の胃がんではセンチネルリンパ節によるがん転移の有無を99%の正確性で判定できると明らかになったという。
今後、センチネルリンパ節に転移がない早期胃がんの症例で、胃切除やリンパ節郭清の縮小、省略が可能となれば、手術後の体重減少やダンピング症候群を免れ、患者の生活の質を高めることが期待できるとしている。(馬野鈴草)
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慶應義塾大学 プレスリリース
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