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京都大学病院、院外処方箋へ検査値表示―医療の安全性向上に期待

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2013年09月27日 AM09:57

京都大学病院は10月3日から、院外処方箋への検査値の表示を開始する。院外処方箋を発行する全ての外来患者を対象に、腎機能や副作用などの指標になる13項目の検査値を院外処方箋の下部に表示している。院外処方箋を応需する薬局薬剤師に、必要最低限の検査値が確実に伝わる仕組みを構築。腎機能に応じた投与量の適正化や副作用の早期発見など、薬局薬剤師にその役割を十分に発揮してもらい、医療の安全性を高めたい考えだ。

院外処方箋の下部に13項目の検査値を表示する

昨春、診療録等の記載上の注意事項が改正され、院外処方箋の大きさの制限は、従来の「A5とする」から「A5を標準とする」へと緩和された。これを受けて京大病院は今年4月から院外処方箋の様式を、A5よりひと回り大きいA4サイズに変更。処方内容が1枚に収まるように処方欄を拡大したほか、使用期間を明示。増えたスペースを生かして来月から、院外処方箋の下部に検査値を載せるようにした。

必要最低限の検査値として、腎機能を示す推算GFR、血糖コントロールの指標となる糖化ヘモグロビン(HbA1c)など13項目を設定。過去4カ月以内に測定された最新の検査値と検査日を、項目ごとに表示している。

薬局薬剤師は、院外処方箋を持参した患者の検査値を自動的に知ることはできない。患者が持参した検査値用紙を見せてもらったりしているが、全ての患者には実行しづらいのが現状だ。

京大病院の院外処方箋発行率は約95%。1日2000枚以上を発行している。全ての外来患者の院外処方箋に検査値を表示することによって、必要最低限の検査値を確実に、薬局薬剤師に伝えられるようにした。

この取り組みの意義を、京大教授・同院薬剤部長の松原和夫氏は次のように語る。

「当院の病院薬剤師は院外処方箋の監査を行っていない。実施している病院もあると聞くが、そこに関わってしまえば責任があやふやになり、院外処方箋を発行する意味がなくなる。そもそも外来患者数が多くてそこまで手が回らない。薬局薬剤師には外来患者のチーム医療を担ってほしい。用量や相互作用だけでなく、検査値に基づいて患者の状態を把握した上で処方を監査し、薬物療法の安全性、有効性を担保してもらいたい」
例えば、腎機能が低下した患者に常用量が処方されていたり、高脂血症治療薬服用患者で副作用の指標となるクレアチニンキナーゼの上昇が認められたりした場合、医師に疑義照会して処方を適正化するなどの関わりが求められるという。

地域の薬局薬剤師には勉強会やWebサイトを通じて、検査値の表示を周知した。「とても前向きな反応がある。現場の薬局薬剤師はこぞって歓迎で、すごく喜んでいる」と松原氏は語る。

現在、院外処方箋に病名や検査値を記載している病院は全国に34施設存在することが、医薬品医療機器総合機構が今年1~2月に全国の8536病院を対象に実施した調査(回収率53・4%)で明らかになっている。また、福井大学病院は2011年3月から、A4用紙の左半分に院外処方箋、ミシン目で区切った右半分に検査値などを印刷して外来患者に渡しているが、今回のように院外処方箋の枠内に検査値を表示した大規模な基幹病院は、京大病院が初めてと見られる。

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