中央社会保険医療協議会は25日、薬価専門部会を開き、次期薬価制度改革に向けて製薬業界から意見聴取した。業界団体の日本製薬団体連合会、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、新薬創出等加算が国内の新薬開発を加速させていると強調。改めて恒久化実現を要望した。委員からは、未承認薬の解消に取り組む業界の努力を概ね評価する声が上がった。
日薬連の内藤晴夫会長は、イノベーションと安定供給の二つの評価を要望。加算恒久化と必須薬の薬価改定方式見直しを訴えた。特に最近1年半でアルツハイマー病、肝癌など、アンメットニーズの高い疾患の薬剤開発が新たに15件開始されたことを示し、「こうした流れを減弱してはいけない。さらに取り組みを加速させるため恒久化をお願いしたい」と述べた。
必須薬の薬価改定方式見直しについては、災害時等に企業が相互協力し、業界全体で安定供給を確保する取り組みを示し、「日頃からバックアップ体制を作るため、それぞれの工場で製造承認を取得する努力と投資が必要になる」と強調。安定供給体制を薬価で下支えする制度導入を求めた。
PhRMA在日執行委員会の梅田一郎委員長代行は内資・外資製薬企業21社を対象に加算の影響を調べた結果を報告。申請ラグの中央値が30カ月以上から17カ月に短縮したほか、国内開発品目も10年比で14%増えたとし、「加算が新薬開発を力強く後押ししている」と効果を強調。EFPIAのフィリップ・フォシェ会長も、加算導入後に新薬開発への取り組みが40~80%増えた結果を示し、恒久化を訴えた。
一方、日本医薬品卸売業連合会の鈴木賢会長は、後発品の流通をめぐり、銘柄数が過剰になっている現状を指摘。後発品の統一名収載の範囲拡大を要望した。
白川修二委員(健康保険組合連合会専務理事)は、加算の効果を示した調査に「説得力の高い資料」と評価しつつ、「加算で得た利益を全て新薬開発に向けてもらいたい」と注文。安達秀樹委員(京都府医師会副会長)も「業界の努力は認識している」としつつ、加算と開発要請の「ミスマッチ企業」問題を指摘し、一層の取り組みを求めた。