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NCNP ディスレクシアの神経学的病態を解明、大脳2領域に異常

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2013年09月26日 PM03:30

NCNPが発表、「BRAIN」に掲載

独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター(NCNP)は9月19日、同センターの精神保健研究所の稲垣真澄 知的障害研究部部長、日本学術振興会特別研究員 北洋輔氏らの研究グループが、(発達性読み書き障害)の脳活動の異常を発見したと発表した。これまでにないディスレクシアの神経学的病態の一端が解明された研究成果として注目されている。

学習障害の中核を占めるディスレクシアは、障害発現の性質上、社会における誤解や偏見を生みやすいことから、その病態の解明は医学的のみならず、社会的にも急務とされてきた。これまで、原因は中枢神経系の障害であり、通常とは異なる脳の動きがあると推定されてきたものの、実態を解明した研究例はなかった。今回の研究結果は、Oxford University Pressが発行する科学誌「BRAIN」に掲載され、オンライン版でも公開されている。

(画像はプレスリリースより 上:大脳基底核 下:左前上側頭回)

fMRI測定で2領域の異常を確認

研究グループは、健常成人30人、健常小児15人、臨床診断が確定したディスレクシア児14人の合計59人(参加者はいずれも日本人)を対象に、音韻処理に関わる課題を作成・実施し、その課題に取り組む際の脳活動を機能的磁気共鳴画像法(fMRI)で測定した。

すると、ディスレクシア児では、大脳の2つの領域、大脳基底核と左前上側頭回に活動の異常があることが確認されたという。具体的には、大脳基底核では、健常成人及び小児の場合、課題の音韻処理要請レベルに応じて活動が変化していたのに対し、ディスレクシア児では、要請レベルに関係なく、常にその活動が亢進していた。

左前上側頭回では、健常成人・小児の場合、音韻処理の能力が高ければ高いほど活発な活動が認められたのに対し、ディスレクシア児では、音韻処理時も活動が低下していたことが確認されたという。

研究グループでは、行動学的データと、実験で得られたfMRIデータの解析から、この2つの脳領域の活動異常が、ディスレクシア児の音韻処理能力の低下と関連しているとみている。とくに大脳基底核はアルファベット語圏では指摘されることの少ない領域であり、日本語圏のディスレクシア児病態を考える上で重要な知見であると位置づけている。

この研究結果は、今後、脳機能評価を用いた客観的かつ精度の高い診断法の確立に活かされることが期待されるほか、有効な治療法の開発・治療効果判定を可能にすると考えられている。(紫音 裕)

▼外部リンク

独立行政法人 国立精神・神経医療研究センター プレスリリース
http://www.ncnp.go.jp/press/

BRAIN オンライン版 該当研究発表文
http://brain.oxfordjournals.org/content/early/

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