気体には様々な要素が集まっているのは、皆さんご存じのこと。現在は、エレクトリックノーズというテクニックで、気体を構成している要素を正確に分析できるようになってきています。吐く息をチェックする検査で、馴染みが深いのが飲酒運転を取り締まる際のアルコールチェックではないでしょうか。
(画像はイメージです。dream designs/FreeDigitalPhotos.net)
さて、この技術が、肺がんの診断にも応用できると考えられて、すでに複数の研究が進められてきていることはご存じでしたか。
9月9日に行われた2013年ヨーロッパ呼吸器学会(European Respiratory Society)総会でラトヴィア大学のチームが、252人の肺がんの患者さんと、223人の肺がんにかかっていない人たちを対象に行った調査の結果を報告しました。このうち、265人はタバコを吸わない人、210人はタバコを吸っていました。
タバコを吸っている人では、がんにかかっている人の119人のうち、114人が正確に検知されました。一方、タバコを吸っていない人で、肺がんにかかっていたのは123人。がんにかかっていない人5人が「がんにかかっている」と誤検知されたものの、123人全員が正確に検知されました。このように、特にタバコを吸っていない人に対して、検査の精度が高くなってきていることうかがわれます。
がんの診断に役立てられるエレクトリックノーズは、患者さんに苦痛がなく行える検査となるため、今後更に精度を上げて、実際の臨床に使うことができるようになることが期待されています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Breath tests could be used to diagnose lung cancer
http://www.alphagalileo.org/
European Respiratory Society 2013年総会
http://www.erscongress2013.org/