■薬剤師1万5000人超が参加
第46回日本薬剤師会学術大会が「薬剤師の新たな使命~120年の歴史を踏まえて」をテーマに22、23の両日、大阪市の大阪国際会議場を中心に開催され、全国から1万5000人を超える薬剤師が参加した。現在、超高齢化社会の到来を見据えて、チーム医療の中での薬剤師の果たすべき役割が増すと共に、在宅医療など薬局機能の社会的要請も注目されている。今回はメインテーマに掲げた通り、日薬創立120周年の記念大会という中で、19の分科会や、初の試みとして日本薬学会など10学会との共催シンポジウムも行われ、査読開始後最多となる627の一般演題など、積極的な討論が繰り広げられ、各会場とも参加者の熱気に包まれた。
開会式であいさつした児玉孝日薬会長は、今大会が日薬創立120年目の記念すべき大会であることを前置きし、「数々の激動の時代を乗り越え、私どもの先達の薬剤師が医薬分業の推進をはじめ、薬剤師の職能を確立しようという大変な努力をしていただいた。そのおかげで今、私ども薬剤師は、それぞれの職域で薬剤師らしい仕事ができる環境が整ってきた」と振り返った。
そして「来たるべき超少子高齢化に向けて、社会保障制度改革が行われる中で、地域医療・在宅医療から健康づくりまで、私ども薬剤師に対する社会の期待が込められている。まさに120年を経て、大きなターニングポイントに来ている。今ある薬剤師が、将来の国民のため、将来の薬剤師のために新たな使命をもって前進する時期だ」との考えを強調した。
来賓祝辞では、田村憲久厚生労働大臣が「日薬会員の皆様には、医薬品適正使用や医療の提供体制の確保など、国民の健康保持のために大変なご尽力をいただいている。全ての薬剤師が常日頃より向上心を心がけ、ぜひ国民が臨んでいる質の高い安心、安全な医療を提供する貢献をいただきたい」と、薬剤師への高い期待を寄せた。
そして「厚労省としては地域の実情に合ったセルフメディケーション、地域の在宅医療のモデル事業の推進、さらには薬局薬剤師を活用した、健康情報の拠点づくりの推進等々を今回の概算要求の中に盛り込んでいる。皆様方と協力して国民の健康をしっかり守りたいと考えている」と述べた。
式典の最後には、大会実行委員長で大阪府薬剤師会の藤垣哲彦会長から、来年の学術大会を担当する山形県薬剤師会の服部智彦会長に薬剤師綱領の盾が引き継がれた。来年の第47回大会は「オール薬剤師のあらたなあゆみ~出羽の国やまがたから発信」をテーマに10月12、13日に行われる。
式典に引き続いての各賞受賞者表彰式では、4人に日本薬剤師会賞、8人に日本薬剤師会功労賞、1団体に日本薬剤師会有功賞がそれぞれ贈られた。
■都道府県会長協議会開く‐調剤報酬改定に向け薬局機能強化を
21日には、今年度第3回「都道府県会長協議会」が開かれ、この中で14年度調剤報酬改定に関して、[1]医療提供体制の中での保険薬局機能の強化[2]質の高い調剤業務[3]医療保険財政への貢献──という三つを基本方針として対応していく考えが示された。
調剤報酬改定に関して、森常務理事は「医薬分業については、調剤報酬の伸びや調剤報酬の妥当性など様々な指摘がなされている」とした上で、「厚生労働省の医療保険部会の中で議論がスタートしているが、今後の対応としては三つ考えている」と説明。「一つは、医療機関完結から地域での医療完結という方向に向かっている中で、医療提供体制の中での保険薬局の機能の強化という点。二つ目は、質の高い調剤業務。三つ目は、医療保険財政への貢献。この三つを基本的な方針として、今回の調剤報酬の改定に対応していこうと考えている」と述べた。
協議会ではこのほか、「会員への医薬品情報伝達等の充実」という面から、薬局に日々送付されてくる製薬企業等からの郵便物を、日薬の方で月に1~2回程度まとめて郵送(「日薬情報おまとめ便」・仮称)する取り組みも示された。これにより、医薬品情報を適切に薬局に届けると共に、薬局での情報閲覧の手間(情報の取捨選択の手間等)を軽減する考え。実施については、年内の開始を予定する。
また「入会キットおよび会員証作成」に関しては、薬剤師会証を入れるストラップや会員手帳・バッジ、入会キット全体を入れるファイルケースなどを作製したことを報告。来年度から発行する会員証と共に、学術大会の日薬組織・会員委員会のブースで展示された。特にバッジに関しては、従来よりも一回り小さいものを作製しており、大会中に実施した会員アンケートの結果も踏まえて、さらなる検討を進めていく考え。