厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の「研究開発および生産・流通部会」は13日、業界団体の日本医薬品卸売業連合会から参考人を招き、ワクチンの流通体制について意見を聞いた。薬卸連は、新型インフルエンザ時の返品問題等を指摘し、パンデミック発生に備えて都道府県単位の協議機関を設置することを提案。委員からも賛同する意見が出た。
薬卸連は、2009年4月に発生したH1N1新型インフルエンザ発生時のワクチン対応で、国が医療機関で発生した在庫の返品を認める方針に転換し、卸業者の負担が発生したことを挙げ、ワクチンを安定的に供給するため、国と製薬企業による的確な需要見通しと生産体制の確保を要望した。
返品をめぐっては、需給ミスマッチを防ぐため、可能な限り需給調整を行って不要返品の防止を図ること、返品処理に要するコストを価格に転嫁すること、医療機関の抱え込みを防ぐための行政指導を求めた。また、新型インフルエンザのパンデミック時に都道府県で対応できる体制ができていなかったとして、卸とメーカー、市町村などによる都道府県単位の協議機関を設置するよう要望した。
坂元昇委員(全国衛生部長会副会長)は、「都道府県単位の協議機関を設置するのは、地域偏在をなくす観点から良いアイデア」と賛同しつつ、「卸が扱う品目をもう少し増やしてもらえれば、医療機関のニーズに対応でき、行政も返品しない体制を取れるのではないか」と提案。三村優美子委員(青山学院大学経営学部教授)は「メーカーと卸で調整し、供給を一元化していくことが重要」との考えを述べた。
この日の部会では、予防接種基本計画に明記する開発優先度の高いワクチンを選定する方法も示された。委員が国内と世界の必要性についてそれぞれ5段階、ワクチン開発の実現性を3段階で評価し、コメントを付けるというもので、事務局案の方法が了承された。次回までに評価点数をもとに検討し、特に開発優先度の高いワクチンを選ぶ。