臨床試験開始、皮膚がんの治療が大きく前進
皮膚がんの一種、メラノーマ。このがんの治療に役立つことが期待されるワクチンの開発に向けて、ヒトを対象とした第1相臨床試験が開始されることになりました。
(画像 ; KGH/wikiコモンズ )
ハーバード大の、ワイス・インスティテュート(Wyss Institute)のチームが、9月6日付でこのニュースを発表しました。
これまでにも、メラノーマに関するワクチンの類いは開発されていましたが、基本的には患者さんの細胞を取り出し、細胞の持つ免疫情報を「リプログラム」して、もう一度本人の体内に戻すという方法でした。
皮膚に埋め込むと細胞をリプログラム!
ワクチンは小さなディスク型のスポンジで、皮膚に埋め込まれると、埋め込まれた場所の細胞の「リプログラム」を行います。つまり、これまで「本人の細胞を取り出してリプログラムし、埋め戻す」という作業だったものを、「ワクチンを埋めると、その部分の細胞のリプログラムができる」というように転換させることに成功したのです。また、ラットを使った実験では、50%のラットに治療効果が報告されています。
もともとは、メラノーマの予防・治療目的で開発されましたが、ほかの種類のがんにも効果が出ることが期待されているそうです。
新しい技術が今回のような短期間で、臨床試験が行えるまでになったことは珍しく、多くの専門家が今後の経過に注目しています。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Cross-Disciplinary Team From Harvard and Dana-Farber Brings Novel Therapeutic Cancer Vaccine to Human Clinical Trials
http://www.newswise.com/articles/