現地医療関係機関との共同研究拠点
協和発酵キリン株式会社は、協和発酵キリンシンガポール株式会社の研究部門として、シンガポールトランスレーショナル研究所を設立すると、9月9日発表した。
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現地研究機関等と連携して、同社の医薬品開発の加速を目指すとしている。
がん研究の基礎から臨床までの開発を加速
この研究所は、シンガポールにおけるバイオメディカルサイエンス領域の集積地であるバイオポリスに開設する新たな研究拠点。シンガポール国立大学(NUS)のシンガポールがん科学研究所(CSIシンガポール)、シンガポール国立がん研究所(NCIS)、およびシンガポール国立大学付属病院(NUH)等と共同研究を進め、協和発酵キリンが持つバイオ医薬品候補物質の非臨床研究を進めるという。また、臨床試験の効率化や加速化を促進するバイオマーカーの探索も柱の一つとしている。
トップレベルの研究環境
NUSは世界大学ランキングのトップ30に入る研究に強い大学。アジアの視点と専門性を基軸に、3つのリサーチ センター オブ エクセレンス(RCE)と23の大学関連研究機関を所有、16の国関連研究機関と密接に提携している。エンジニアリング・生命科学・医学・社会科学・自然科学など、各分野で世界トップレベルの研究が行われている。
また、2008年に設立されたCSIシンガポールは、がん治療の改善を目標に、基礎から臨床応用までの多面的ながん研究を行っている。実験治療学における高い専門性を有し、アジア人に多いがん疾患に焦点を当てた研究プラットフォームを持つ。がん治療のマネジメント実績のあるNCISや、シンガポール最高レベルのヘルスケアチームを有するNUHを加え、シンガポールにおける医学研究・開発・臨床のすべての条件が揃った環境に、協和発酵キリンがコラボレーションするという形である。
アジアに有益な治療戦略拠点に
NCISは、がんのスクリーニング、診断、治療に関する新しい発見を目指す。また、シンガポール大学医学部における研究と教育は、NCISとCSIシンガポールが推進しており、協和発酵キリンとのパートナーシップによって、臨床医と研究者による質の高い研究が実現し、アジアに有益な治療戦略が新たに見出されることが期待されているという。シンガポール政府も、協和発酵キリンのシンガポール進出を受け、トランスレーショナルリサーチ推進に向けて現地のインフラ整備と強化を図るとしている。
同社は、がん領域のトランスレーショナルリサーチ(基礎から臨床応用への橋渡し研究)に最適な環境が整っているシンガポールで、現地のパートナーシップとコラボレーションによる、現在保有する医薬品候補の開発の加速と、価値の最大化を目指している。国内の医薬品研究開発も、グローバルな開発環境や効率化、加速化が今まで以上に求められる時代とになったと言えるだろう。(長澤 直)
▼外部リンク
協和発酵キリン株式会社 プレスリリース
http://www.kyowa-kirin.co.jp/