潰瘍性大腸炎を適応症とした承認申請で
武田薬品工業株式会社は9月5日、同社とその子会社である武田ファーマシューティカルズUSA Inc. が、「Vedolizumab」(一般名、開発コード:MLN0002)について、米国食品医薬品局(FDA)に対し行っていた、中等度から重度の活動期潰瘍性大腸炎を適応症とした生物学的製剤承認申請について、優先審査に指定されたことを明らかにした。
同剤の承認申請は、今年6月に実施。あわせて中等度から重度の活動期クローン病の適応症についても行っているが、こちらについては通常審査となるという。
(画像はwikiメディアより引用 Attribution : Samir at English Wikipedia 「Ulcerative colitis」)
審査期間は8カ月間に短縮
Vedolizumabは、消化管においてα4β7インテグリンを特異的に阻害するヒト化モノクローナル抗体。潰瘍性大腸炎やクローン病における炎症発生のプロセスに深く関与する循環白血球のサブセットに発現するα4β7インテグリンは、消化管の血管やリンパ節に特異的に存在する細胞接着分子に結合する。Vedolizumabは、この結合を阻害することにより、症状の改善・寛解に効果を発揮するという。
Vedolizumabの米国における承認申請は、世界約40カ国、2,700名の患者を対象に実施した、フェーズIII、GEMINI(TM)試験のデータに基づいて行われている。これらの試験では、同剤投与による潰瘍性大腸炎およびクローン病の改善率、寛解率、長期安全性に加え、潰瘍性大腸炎における粘膜治癒率を評価。試験は、標準治療である、コルチコステロイド、免疫調節薬、または抗TNFα抗体による治療を施しても不応であった中等度から重度のケースで実施された。
優先審査指定を受けたことにより、通常、承認申請提出日から12カ月かかる審査期間は、8カ月間に短縮される。潰瘍性大腸炎に対する新しい治療選択肢への高いニーズを踏まえたものであるとみられ、武田薬品工業の米国における消化器系疾患領域Medical DirectorであるKaren Lasch医師は、同剤を患者に早く届けられるよう、引き続き尽力していくとコメントしている。(紫音 裕)
▼外部リンク
武田薬品工業 ニュースリリース
http://www.takeda.co.jp/news/2013/