医療従事者の為の最新医療ニュースや様々な情報・ツールを提供する医療総合サイト

QLifePro > 医療ニュース > テクノロジー > 理研・慶大の研究グループ 思春期特発性側彎症の重症化に関連するゲノム領域を発見

理研・慶大の研究グループ 思春期特発性側彎症の重症化に関連するゲノム領域を発見

読了時間:約 1分17秒
このエントリーをはてなブックマークに追加
2013年09月12日 PM07:26

オンライン科学雑誌「PLOS ONE」に掲載

独立行政法人理化学研究所統合生命医科学研究センターと慶應義塾大学医学部整形外科脊椎外科研究グループは、思春期特発性側彎症(AIS:Adolescent Idiopathic Scoliosis)の重症化に関連する新たなゲノム領域の発見を、9月5日発表した。

(画像はプレスリリースより)

理研同センター骨関節疾患研究チームと、同大学側彎症臨床学術研究グループとの共同研究グループによる成果。オンライン科学雑誌「PLOS ONE」に日本時間9月5日付で掲載された。

これまでに2つのAIS関連遺伝子を発見

背骨が曲がる疾患である側彎症は、その多くが原因を特定できない特発性。中でも発症頻度が高いのが、思春期に起こるAISで、世界人口の約2%が発症している。AISの発症と進行には遺伝的要因が関与していると考えられており、研究グループはゲノムワイド相関解析によって2011年に「LBX1」を、2013年5月に「GPR126」を発見している。しかし、これらの遺伝子は発症に関与したが、重症化への関連性は確認できなかった。

日本人と中国人に共通のゲノム領域

研究では、日本人AIS患者のうち重症群(側彎の角度が40度以上)だけ、および対照群の合計12,000人について、55万個の一塩基多型(SNP)を2段階相関解析で調査した。その結果、重症化と強い相関を示すSNPが17番染色体上に見つかったという。この相関は、中国人の集団でも同様に確認できた。日本人と中国人に共通した重症のAISに関連するゲノム領域を同定したのは世界でも初めてである。

見つかったSNPは、SOX9とKCNJ2という骨系統疾患の原因遺伝子の近くに存在しており、その症状に側彎症を含んでいることから、AISとの関連が強く示唆されると説明。この遺伝子との関連を今後さらに詳細に研究し、分子レベルでのAISの病態の理解を進めることで、治療法が新たに開発されることが期待できるとしている。(長澤 直)

▼外部リンク

独立行政法人理化学研究所 プレスリリース
http://www.riken.jp/

このエントリーをはてなブックマークに追加
 

同じカテゴリーの記事 テクノロジー

  • モバイル筋肉専用超音波測定装置を開発、CTのように広範囲描出可能-長寿研ほか
  • ヒトがアンドロイドの「心」を読み取り、動きにつられることを発見-理研
  • 生活習慣病の遺伝的リスクと予防効果の関係、PRS×AIで評価-京大ほか
  • 精神的フレイル予防・回復支援「脳トレシステム」開発-愛知産業大ほか
  • ChatGPTと放射線科医、骨軟部放射線領域の診断精度を比較-大阪公立大ほか