精神の病気を抱える患者さんは、喫煙率がとても高いのだそうです。これは、主にタバコが脳の報酬系に働きかけることに関係していると考えられています。ストレスに直面したときに、タバコを吸うことで気持ちを落ち着けるわけです。アメリカでは、タバコの販売の半分は、精神の病気を抱えていたり、中毒に陥っていたりするとも言われます。
(画像はイメージです。 zole4/Freedigitalphos.net)
禁煙への取り組みに積極的なアメリカでは、1993年より病院が全面的に禁煙となりました。精神病院や精神科病棟も例外でなく、入院中は禁煙パッチを処方したりして院内の禁煙を保っています。
喫煙が精神科で用いる薬の代謝に影響を及ぼすこともあるので、この点からも精神の病気を抱える患者さんの禁煙には意義があるとされてきました。
また、専門家は、喫煙という取り組みの中で、ストレスへの対処法や、ものごとの考え方などに働きかけることが、その後の精神の病気の経過にもプラスの影響を及ぼすのではないかと指摘しています。
この説を裏付けるかのように、今回専門誌に発表された報告では、精神科の病気を抱える患者さんで、禁煙に成功した人は、タバコを吸い続けていた人たちに比べて、退院して時間が経ってからも、病気が悪化したり再発したりして入院する確率が、低くなることが確認されました。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Efficacy of Initiating Tobacco Dependence Treatment in Inpatient Psychiatry: A Randomized Controlled Trial
http://ajph.aphapublications.org/doi/abs/
Psychiatric patients given smoking-cessation treatment less likely to be rehospitalized, scientist finds
http://med.stanford.edu/ism/2013/