新制度に向けた具体的検討を開始
9月3日、厚生労働省の設ける厚生科学審議会疾病対策部会の第30回難病対策委員会の会合が開かれた。同省では、難病の患者に対する医療費助成について、症状の重い患者に限り、対象となる難病の種類を大幅に拡大した新制度を来年度から導入する方針で、具体的な検討を開始した。
改革は、難病の治療研究を進め、疾患の克服を目指すとともに、患者の社会参加を支援し、難病を患っても地域で尊厳をもって生きられる共生社会を目指すことを基本理念としている。他の制度との均衡や、将来にわたって持続可能で安定的な仕組みとなることを考慮しながら、難病の特性に配慮した治療研究の推進や患者への公平な医療費の助成を行うことを目指すという。
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長期の療養、治療法なし、所得がないなど条件取りまとめへ
医療費助成の対象となる難病に関しては、今年1月に専門家会議で、症状が重い患者に限り、現状の56種類から300種類程度に拡大すべきという報告書がまとめられている。
3日の委員会では、これを受けた具体的な検討が開始され、対象となる難病の選定基準について、患者数が少なく症例も少ないため、全国的な規模で研究を行わなければ対策が進まないもの、原因不明(病態が未解明)なもの、効果的な治療法が未確立で、一定の治療方法があっても軽快と増悪を繰り返すもの、長期療養を必要とするものといった要素を条件に挙げ、今後新たな第三者的委員会を設置し、協議を行って決定するとした。
医療費負担については、一部負担額が0円となる重症患者の特例を見直し、すべての患者で所得などに応じ、一定の自己負担を求める方針で、今後より具体的な基準や定義について話し合い、11月までに意見を取りまとめるとしている。
現行の制度では、難治性疾患克服研究事業として、臨床調査研究分野130疾患、研究奨励分野234疾患などに、100億円の研究費助成が行われている。また、臨床調査研究分野のうち、56疾患が特定疾患治療研究事業として指定され、440億円の医療費助成等が実施されている。
厚生労働省では、取りまとめられた最終意見を受け、来年の通常国会に新たな法律案を提出する予定だ。(紫音 裕)
▼外部リンク
厚生労働省 厚生科学審議会疾病対策部会 第30回難病対策委員会資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000020587.html