高額療養費の支給額は、2010年度で1兆9789億円。03年度に老人保健制度の1割負担導入、健保本人の自己負担を3割に引き上げたこと等により、01年度の8312億円に比べて、10年間で2倍以上に増加している。
国民会議の報告書では、「負担能力に応じた負担となるよう限度額を見直すことが必要」と提言されたことから、厚労省は、高額療養費の所得区分をさらに細分化し、自己負担の限度額をきめ細かく設定する見直しの方向性を示した。
現行制度では、70歳未満の所得区分と自己負担限度額は、年収約790万円以上の「上位所得者」、年収約210万~約790万円の「一般所得者」、住民税が非課税の「低所得者」の3区分している。
この日、厚労省が示した見直し案では、一般所得者と上位所得者の所得区分を細分化し、上位所得者や一般所得者でも、年収が高めの人の上限額を引き上げる一方で、一般所得者で年収が低めの人や低所得者の上限額については引き下げる方向性が示された。
また、70歳以上については、自己負担が2~3割の70~74歳の「一般所得者」と「現役並み所得者」の所得区分を細分化し、収入が多めの人の上限額を引き上げる一方で、低所得者や自己負担が1割の70~74歳、75歳以上の人の上限額は据え置く方向性が示された。
厚労省が示した見直し案は、数値が未記入のイメージ案だったが、支払側委員からは、見直しに当たって財政中立を求める意見が出た。小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は、「高額療養費の見直しの目的には一定の理解を示したいが、財源とセットでやってほしい。保険者の財政は厳しい中では、財政中立が前提とならざるを得ない」とけん制した。
堀憲郎委員(日本歯科医師会常務理事)は、所得区分を細分化することに理解を示したものの、「患者さんにとって手続きが煩雑化しないかと危惧している。あまり細かい仕組みになるのはどうか」と問題提起した。