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東大医科研チーム 造血幹細胞の新分化経路を発見

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2013年09月10日 PM03:53

血液細胞の産生に関する詳細メカニズムを解明

東京大学医科学研究所附属幹細胞治療分野の中内啓光教授、山本玲特任研究員らのグループが、赤血球や血小板、顆粒球、Bリンパ球、Tリンパ球といった血液細胞の分化モデルについて、従来の学説を覆す新モデルを発見したと発表した。研究結果は、3日、東京大学医科学研究所HPで報告されたほか、現地時間8月29日の米科学誌の「Cell」(セル)電子版に掲載されている。

骨髄中にある造血幹細胞は、分裂により同じ細胞を作り出す、自己複製能と、各血液細胞に成熟できる多分化能をもち、従来の血液学の学説では、この自己複製能が造血幹細胞の特徴的な能力であり、造血幹細胞が自己複製能を失うことによって、徐々に赤血球や血小板、白血球等の成熟血液細胞を産生すると考えられてきた。

しかし、これまでの研究では顆粒球やリンパ球の解析が中心であり、核をもたない赤血球などについて同様に体内で解析したものがなく、必ずしも実験的に証明されているとは言えなかった。

(画像はwikiメディアより引用 参考イメージ)

白血病をはじめとする血液疾患の解明および治療法に光

そこで研究グループでは、これまで十分な解析・研究がなされていなかった赤血球、血小板を含む、顆粒球、Bリンパ球、Tリンパ球の5系統すべての血液細胞において、蛍光色素クサビラオレンジを発現するマウスを作成。マウスの骨髄から細胞をひとつずつ採取して他のマウスに移植し、どの血液細胞に変わるかを継続的に観察することにより、骨髄中の血液細胞の分化能力を詳細に解析した。

すると、造血幹細胞以外にも自己複製能をもつ骨髄球系に分化能力が限定した前駆細胞が存在することが見出され、また、この骨髄球系前駆細胞は、これまでの学説とは異なって、造血幹細胞から直接産生されていることを発見したという。

この研究結果は、造血幹細胞の新しい分化経路のモデルを明らかにしており、再生医療や白血病などの難病血液疾患の解明および治療法の開発等に寄与するものと期待されている。(紫音 裕)

▼外部リンク

Cell 該当論文
http://www.cell.com/abstract/

東京大学医科学研究所 研究成果 発表論文について解説
http://www.ims.u-tokyo.ac.jp/imsut/

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