大塚製薬は、米バイオベンチャー「アステックス・ファーマシューティカルズ」を買収し、完全子会社化すると発表した。買収額は、約8億8600万ドル(約883億円)。重点分野に位置づける癌領域の開発パイプラインを強化すると共に、疾患に関与する標的蛋白質に対し、分子量300以下のフラグメントを組み合わせてリード化合物に最適化する「フラグメントベースドドラッグディスカバリー」(FBDD)の創薬基盤を獲得した。大塚ホールディングスの樋口達夫社長は、5日の記者会見で、「アステックスはフラグメント創薬では世界トップ企業。大塚の創薬アプローチにアステックスの技術を加え、革新的医薬品を創製したい」と語った。
アステックスは1991年に設立し、英ケンブリッジにフラグメント分子設計創薬研究所、米カリフォルニアに臨床開発部門を持つ。従業員は137人で、2012年度の売上高は8315万ドル。エーザイが販売する急性骨髄性白血病治療薬「ダコジェン」(一般名:デシタビン)を開発した実績をはじめ、第II相試験段階にデシタビンのプロドラッグ皮下注製剤やHSP90阻害剤「AT13387」など4化合物、臨床に入った品目を含めると8化合物を保有する。そのうち、ノバルティスやアストラゼネカなど他社提携で開発している案件が半数に上る。