■審査方針を大きく転換へ
PMDAは1日付で「次世代審査・相談体制準備室」を設置した。PMDAの審査官が自ら生データを解析することを視野に入れたもので、申請データを電子的に提出できるか確認するパイロット事業を行う目的で立ち上げた。
パイロット事業は、日本製薬工業協会、米国研究製薬工業協会(PhRMA)、欧州製薬団体連合会(EFPIA)に協力を依頼し、年内には3品目程度の臨床試験データを入手したい考え。米FDAが申請データの提出に当たって、世界標準のデータ交換規格「CDISC」の利用を推奨していることを踏まえ、CDISC準拠のデータ提供を求めている。
PMDAは、製薬企業から提供された臨床試験データを用い、システムでの動作確認、ソフトウェアでの閲覧可能性など、予備的な確認を行う予定。データを入手後、実際の解析は来年1月から3月まで実施する計画である。
これまでPMDAに提出された申請データに懸念があった場合、企業に再解析を依頼していたが、PMDAが自ら生データを解析するようになれば、企業の負担軽減につながる。また、審査官の問題意識をもとにPMDAが実施したい解析ができるようになるほか、モデリング&シミュレーションをはじめ、先進的手法を用いた解析を行うことで、より科学的な判断、意思決定も可能となる。
今回のパイロット事業では、製薬企業にCDISC準拠の申請データを電子的に提出してもらい、PMDAで適切に受け取れるか、専用サーバへの保管や管理が可能か、審査官がデータにアクセスして解析できるかどうか検証する。
今回のパイロット事業はPMDAが米FDAと同様に、自ら申請品目の生データの解析を行っていく方向性を探るもので、これまでの日本の審査方針を大きく転換させる取り組みとなりそうだ。
6月に政府が策定した健康医療戦略には、「PMDA自らが臨床データ等を活用した解析や研究を進め、審査・相談において、より合理的で効率的な評価・判断プロセスの構築を進める」と明記されており、申請データを活用した承認審査・相談の質向上が求められていた。