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京都大学 脊椎用カスタムメード型インプラントを開発

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2013年09月06日 PM04:54

選択的レーザー溶融(SLM)法でカスタムメード

京都大学は、松田秀一医科学研究科教授らのグループが、SLM法を用いた脊椎用カスタムメード型インプラントを開発し、現在同大学医学部倫理委員会の承認を得て、附属病院で臨床試験を行っていることを8月9日発表した。

(画像はプレスリリースより)
これまでに4人の患者に手術治療を実施し、いずれも良好な経過であるという。

三次元プリンター技術を医療へ

選択的レーザー溶融(Selective laser melting:SLM)法とは、設計図から作成したスライスデータに基づいてレーザー光を走査させ、散布した粉末層を目的の形状に溶融、これを繰り返して積層させることで三次元的な構造体を造形する技術だという。

既製品では得られない高い適合性

骨関節疾患の治療では、さまざまな金属製インプラントが用いられているが、いずれも既製品のため疾病部位への適合性が低く、生体側の骨を削るなどが必要。また、腫瘍切除などの大きな骨欠損に対する修復は困難とされてきた。。

研究グループは、近年進歩している三次元プリンターの技術は、さまざまな形状の造形が可能となっている点に注目。生体親和性が高く、多くの生体内埋植インプラント素材として利用されているチタン金属を、100ミクロン単位で微細な構造に造形できるSLM法と、表面の化学処理を組み合わせることで、チタン金属を早期に生体骨と強固に結合させることができる技術を開発したという。表面処理は既に人工股関節に置いて臨床応用され、安全性と有効性が確認されているとのことだ。

造形+表面加工で早期に生体骨と結合

研究グループは、術前にチタン製インプラントを患者個々の頸椎病変部位に適合する形状に造形、さらに、周辺骨と早期に強固な固定が得られるようにインプラントの表面を処理した。これによって従来行われていた骨盤から骨を採取するなどの手術侵襲が不要となる。また、患者個々に作成したインプラントであるため、形状の適合性に優れ、早期の社会復帰が期待できるとしている。

九大・中部大・佐川印刷などとの共同研究

研究は、経済産業省の支援を受け、京都大学、九州大学、中部大学、佐川印刷による共同研究体制で実施されており、インプラントの力学的評価や安定して機能を発揮する表面処理技術の開発なども並行して進められているという。

この技術は、九州大学でも歯槽骨欠損に対する歯槽骨造成術(GBR)などに応用されており、従来法に比べて手術時間の短縮や手技の簡易化などメリットが大きいとのこと。手術のリスクを減らし、早期社会復帰が可能になるなど、様々な骨関節疾患において大きな技術革新と言える。

カスタムメード医療機器の法整備を急げ

今後は、カスタムメード型医療機器としての薬事承認と市販化を目指すが、日本には規格基準がなく、市販化にはカスタムメード型医療機器の規格基準策定が必要。現状では欧米製品が95%以上を占める脊椎手術用医療機器業界における国内企業の活性化につなげ、将来的には海外進出も考えているとのこと。日本の医療技術革新に期待したい。(長澤 直)

▼外部リンク

京都大学プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/

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