厚生労働省は4日、中央社会保険医療協議会費用対効果評価専門部会に、これまでの議論の中間的な整理を提示した。中間整理では、「今後の検討」「引き続き検討」などの記述が目立ったため、委員から「中立的に書かれているが積極性がない」との意見が出た。また、複数の委員からは、質調整生存年(QALY)などの評価指標を日本に導入した場合の具体例を示すよう求める意見が相次いだ。
中間整理では、費用対効果評価の具体的な手法について、QALYを用いた増分費用効果比(cost/QALY)を単一の指標とした機械的な運用で保険収載の可否を判断しないことを前提とし、医療制度や医療現場の実情を踏まえつつ、QALYや生存年(LY)、臨床検査値、治癒率、重症度、発生率などを効果指標とする際の運用方法などを今後検討するとした。
費用の範囲や取り扱いについては、公的医療費のみを費用の範囲に含めることを原則としながら、それ以外の費用の取り扱いを明確に区別しつつ、今後検討を行うとした。
保険償還の可否の判断や保険償還価格の決定に医療技術の費用対効果評価の結果を活用することについては、評価に時間を要する場合、保険収載の遅延につながる可能性があることなどを踏まえ、保険医療制度との整合性や患者アクセスの確保等に留意しつつ、適宜具体例を用いることも考慮しながら、引き続き検討するとの方向性を示した。
白川修二委員(健康保険組合連合会)は、QALYなどの評価指標を「日本に導入した場合の具体例を示してもらわないと議論が進まない」とし、具体例をもとに課題や問題点を整理すべきと主張。他の委員も同調した。その上で、白川委員は保険適用されて数年経っている医薬品をもとに分析してみることを提案した。
印南一路委員(慶應義塾大学教授)は、いつまでにどのような検討を行うのかについて、「スケジュールも含めて示してもらいたい」と要望した。
議論の中間整理は、この日の意見を踏まえて修正し、次回会合に提示する。