保存した精子の受精能力を確認
京都大学は、同大学医学研究科附属動物実験施設特定講師らの研究グループが、2012年4月に開発したフリーズドライ精子保存法で冷蔵庫や常温で保存したフリーズドライ精子から、産子の作出に成功した、と8月27日発表した。
(画像はフリーズドライ精子。プレスリリースより)
既に、チンパンジーやキリン等、一部の動物種で、フリーズドライ後の精子に受精能力があることを確認しているという。
液体窒素を使わない低コストで安全な方法
研究者らは、液体窒素を使用しないフリーズドライ、すなわち凍結乾燥法で、冷蔵庫(4℃)での長期保存が可能な精子保存法を開発。この技術を用いて、希少野生動物の精子を保存し、種の保存に応用するとしている。液体窒素を使用しないため、精子採取動物の飼育施設では保存・管理が簡易にでき、精子サンプルの移動も容易になる。また、液体窒素の継続補充や専用保存容器を必要としないことから、安全性が高く低コスト。常温に近い温度での保存ができることから、遺伝資源管理の可能性を広げるだけでなく、災害や事故から貴重な遺伝資源を守ることが可能になるという。
動物種を問わず保存可能
動物種を問わず共通の保存液(トリス−EDTA保存液)で保存可能であることから、精子採取が困難な動物種であっても、保存方法を検討する必要がなく、すぐに対応できることもメリット。希少動物の人口繁殖に、この汎用性の高い精子保存法は大きく貢献すると考えられる。
発表では、今後、全国の動物園や水族館での希少動物保護にこの方法を本格的に利用してほしいとしている。(長澤 直)
▼外部リンク
京都大学プレスリリース
http://www.kyoto-u.ac.jp/