厚生労働省は8月30日、いわゆる「団塊の世代」が75歳以上となる2025年度までに見込まれる医療・介護費を約5兆円抑制するとの目標を発表した。後発品の使用促進で約1兆円、特定健診・保健指導を通じた生活習慣病の早期発見や禁煙対策などを進め約2・4兆円の削減を見込む。
後発品の使用促進による1兆円の抑制額は、「後発医薬品のさらなる使用促進のためのロードマップ」で17年度に後発品の数量シェア60%以上という目標を達成し、25年度まで維持すると仮定して推計したもの。
また、ロードマップに基づき、後発品推進の意義の理解と、品質に対する信頼性の確保などの取り組みを進めるほか、医療保険者が加入者に対し後発品を使用した場合の差額通知を行う取り組みも拡大させる。
ICTを活用した地域医療ネットワークを推進し、重複検査・重複服薬の適正化を図ることで1000億円の効果額を見込む。
認知症の人が住み慣れた環境で暮らし続けられるようにするための早期支援体制の構築を進めることで1000億円、高齢者の肺炎予防の推進で8000億円の抑制効果を見込んでいる。
これらの取り組みは、田村憲久厚労相を本部長とする「健康づくり推進本部」を今月に設置し、省内横断的な体制で進める。
田村厚労相は同日の閣議後の記者会見で「今年が予防元年という意気込みで、省を挙げて予防・健康管理の取り組みを推進していきたい」と述べた。また、今回の取り組みの目的は医療費削減だけではなく、病気や重症化の予防であることも強調した。