調査は、昨年8月~今年8月まで、厚労省、国立病院機構、都道府県、保健所、医療機関等を対象に実施されたもの。医療機関で安全管理体制が確保できているかどうか、国の指導監督が適切に実施されているかどうかを評価した。
その結果、医薬品を取り扱う各段階の安全対策を示した業務手順書に基づき、業務が的確に実施されているか調べたところ、医薬品業務手順書を作成している122医療機関のうち、51医療機関で医薬品安全管理責任者による定期的な確認が行われていないことが判明した。
また、定期的な確認が行われている71医療機関で確認の範囲を見ると、32医療機関は、患者に投薬する段階までの確認は行っていなかった。その理由としては、業務が多忙のため投薬段階まで確認できないこと、投薬について医薬品業務手順書に規定していないことを挙げている。
ただ、総務省は、これら医薬品安全管理責任者による確認を行っていない51医療機関、患者に投薬する段階までの確認を行っていない32医療機関では、医薬品の取り扱いに従事している職員が業務手順書に規定している手順や確認などを怠った結果、2009年4月から昨年11月までに投薬段階で別の患者に医薬品を投与したり、誤投与やPTP包装の誤飲などの医療事故が31医療機関で計70件発生している事実を指摘した。
また、09~11年度で定期的に医薬品安全管理責任者による確認を行っていない51医療機関に対して、地方厚生局や都道府県などによる立入検査の実施状況を見ると、業務手順書に基づく医薬品取り扱い業務の定期的な確認について指摘されていたのは、2医療機関のみであることが明らかになった。
さらに、厚労省に対しては、医薬品安全管理責任者によって業務の定期的な確認が行われているかどうか立入検査を実施した結果について、「都道府県等からの報告を特段要請していない」と対応を問題視した。
こうした状況を踏まえ、総務省は厚労省に対し、医療機関における医薬品安全使用を促進する観点から、医薬品安全管理責任者による定期的な確認を、患者への投薬段階まで確実に行うことを含め、都道府県を通じて医療機関に徹底を要請するよう促した。
また、都道府県等に対し、医療機関への立入検査で医薬品安全管理責任者による定期的な確認が行われているかどうかの検査を徹底すると共に、その実施結果の報告を要請するよう厚労省に勧告した。