米国立衛生研究所(NIH)に倣って、省庁別の研究費を一元管理する「日本版NIH」には、524億円を充て、革新的な医療技術の実用化を進めると共に、医薬品・医療機器の実用化につながるシーズ数の増加や実用化を促進させるための研究体制を強化する。
アカデミアなどの優れた基礎研究の成果を医薬品の実用化につなげるため、医薬基盤研究所の創薬支援戦略室、関係府省、理化学研究所、産業技術総合研究所などで構成するオールジャパンでの創薬支援ネットワークの機能強化に78億円を要求。
特に、癌や難病・希少疾病、肝炎、認知症、感染症、免疫・アレルギー疾患、生活習慣病、精神・神経疾患、小児疾患などの領域において研究開発を加速させる。
再生医療の実用化促進にも取り組む。再生医療の提供機関間の連携を図り、研究成果を集約する「再生医療実用化研究実施拠点」を整備するための経費として39億円を要求。再生医療の実施計画の審査や細胞培養加工施設の調査に必要な体制整備には6億5000万円を充てる。
医療関連産業の海外進出も後押しする。10億円を充て、国内製薬産業の研究開発力を生かした開発途上国向けの医薬品の研究開発支援を行うと共に、海外の産業保健・公衆衛生の向上を通じて日系企業の海外進出を支援し、医療の国際展開・貢献を図る。
消費増税の行方が不透明なため、診療報酬改定や地域医療再生基金、難病対策の見直しなどは要求段階で金額を示さない事項要求として盛り込み、予算編成過程で検討することとした。
■税制改正、研究開発の拡充要望
また、14年度の税制改正要望では、試験研究費の額に応じて法人税の税額控除を受けられる研究開発税制の「総額型」と13年度末までの時限措置である上乗せ部分の「増加型」と「高水準型」のうち、「高水準型」の恒久化と「増加型」の拡充を求めた。
試験研究費の増加額に対して5%の税額控除を受けられる「増加型」については、16年度末まで控除率を30%に引き上げると共に、試験研究費税額控除額が控除上限を超過した場合の措置として、超過額を翌年度に繰り越して控除できるようにする繰越控除制度の新設を求めた。