政府の規制改革会議は22日、革新的医薬品のイノベーション評価の積極化や長期収載品薬価の大幅引き下げなど、薬価算定ルール見直しを求める意見を公表した。政府方針の日本再興戦略を受けた提言で、中央社会保険医療協議会で議論がスタートした2014年度薬価制度改革への反映を目指し、厚生労働省に実現を働きかけていく。
提言は、革新的医薬品のイノベーション評価を積極化することが大きな柱。患者のQOL向上効果、医療費削減効果などを客観的に評価したり、数値化する“費用対効果”が医薬品の価値に反映されるルールとするよう求めた。
内資企業が海外開発を先行させる現状を踏まえ、国内で開発・製造し、世界に先がけ国内上市することを評価し、営業利益率の引き上げや加算を行う制度の創設を提言。原価計算方式では革新性の評価を一層充実させるべきとした。
イノベ評価の一方で、保険財政への影響を考慮し、後発品の普及が一層進むよう長期収載品の薬価を大幅に引き下げ、患者が先発品か後発品を選ぶときに薬価差が判断材料となるよう改革を求めた。特に後発品初収載時の先発品の特例引き下げ率を、現行の4~6%からさらに深掘りするよう提言した。
ただ、長期品を下げることによる後発品との価格差については、レセプト分析で長期品服用者に後発品を促すなど、保険者機能の強化と合わせ総合的に検討すべきとした。
同ワーキンググループの翁百合座長は、「長期品を大幅に下げると後発品メーカーに影響が出る。長期品を下げつつ、後発品を広める取り組みを合わせ、適正な価格差を考えるべき」とバランスを重視する考えを示した。
同会議は、中医協で議論がスタートした14年度薬価制度改革でルール見直しを実現したい考え。翁氏は「中医協の議論を尊重するが、われわれの意見も反映させていきたい」とした。