厚労省は、この日の部会で「外国平均価格調整」「ラセミ体医薬品光学分割ルール」「医療用配合剤の特例」「投与間隔延長のためだけの製剤(規格間調整)」を取り上げた。
ラセミ体医薬品光学分割の現行ルールは、類似薬効比較方式Iで算定した薬価の0・8倍とされているが、▽ラセミ体の既収載品が薬価収載から15年以上経過している場合▽異なる製造販売業者が開発している場合▽既収載品に比べて高い有効性と安全性が客観的に示されている場合――は、“0・8がけルール”が除外されるとしてきたが、高い有効性と安全性が示されている場合のみに特例要件を適用し、その他の場合は0・8がけルールとする見直し案を示した。
医療用配合剤の特例についても、薬価収載されていない一般用医薬品の成分を含めた配合剤が中医協で問題視され、「先発品メーカーの後発品対策」と指摘があったことを踏まえ、「薬価収載されていない新規性のない成分を含む配合剤については、収載されている単剤のみの薬価」とする見直し案を示した。
同一成分製剤の規格間調整をめぐっても、単に投与期間を延長するためだけに含有量を増やした医薬品については、類似薬の規格間比の上限を「0・5850」とし、含量が増えた場合に薬価が頭打ちになる新ルールを示した。
既に薬価算定組織が見直し案を示した外国平均価格調整については、対象範囲を現行の「外国平均価格の1・5倍に相当する額を上回る場合」から「1・25倍を上回る場合」に変更した場合、2010年度から今年5月に収載された新薬170成分のうち、3成分が新たに引き下げ調整対象となる試算を明らかにした。また、最高価格が最低価格の5倍を超える場合に、その最高価格を除外した相加平均値を用いることとしている現行制度を「3倍」に見直した場合、18成分が引き下げ対象となる試算も示した。
薬価引き下げにつながる厚労省の新ルール提案に対し、業界代表の加茂谷佳明専門委員(塩野義製薬常務執行役員)は「すべからく薬価引き下げとその対象を拡大するものになっている」と反発。業界に与える影響が大きいとして、外国平均価格調整の限定的な適用を訴えた。
土屋裕専門委員(エーザイ代表執行役専務)も規格間比の上限設定に言及し、「製剤に何らかの工夫をせずに含量を増やすことは例外的な事例。これをもってルールを検討するのはいかがなものか」と疑問を示した。新ルール案を受け、次回の部会で製薬業界からヒアリングを実施する。
■薬価算定不服率は9%‐「加算」に厳しい評価
また厚労省は、薬価算定における不服件数が10年度から今年5月までの収載品目170成分で16件に上ることを明らかにした。不服率は9・4%で、不服を申し立てた16件のうち、実際に不服が認められたのは5件だった。
同じ期間に類似薬効比較方式で薬価算定した収載品目102成分では、申請者の加算希望実績が48成分だったのに対し、実際の加算実績は23成分にとどまった。また、原価計算方式で薬価算定した55成分では、平均的な営業利益率に対する申請者の加算希望実績は33成分だったが、実際の加算実績は16件にとどまり、加算について厳しく評価されていることが分かった。