「5カ年計画2012」は03年に始まった国内治験の振興戦略の集大成とも言えるもので、依然として達成できていない症例集積性の向上を重要なテーマに位置づけている。複数の治験施設が有機的に連携し、諸外国の1000床を超える巨大な治験施設に負けないNW体制の構築が最大の課題で、既に国内には多くの治験NWが存在するが、実質的に動いていないNWも散見される。また、NWとして契約症例を確保したり、契約や審査委員会の効率的な運営が不十分なケースもある。
そのためアクションプランは、症例集積性、事務手続きの効率化、迅速化等の点で優良なNWの要件を定め、該当するNWを厚労省のウェブサイト等で公表することとしている。
研究班では日本医師会治験促進センター、ナショナルセンター、国立病院機構をはじめ、大規模治験NWや日本製薬工業協会などが協力し、実施施設と依頼者の両方の視点からNWに求められる機能を探る。
要件が明確になることにより、依頼者側からはNWを選ぶ判断基準になるというメリットがある。
今月末に班会合の初回を開き、来年度中の結論を目指す。
■災害対応やCRC養成も
一方、災害対応マニュアルは、東日本大震災の影響を調査する中で整備の不足が浮き彫りになり、「5カ年計画2012」に課題として盛り込まれた経緯がある。
昨年度から研究班で検討を重ね、ひな形の内容が固まりつつある。
作成するのは、[1]実施医療機関の基本マニュアル[2]希少疾患を対象とした医師主導治験の対応マニュアル[3]臨床研究・治験における大規模災害による計画停電・大規模停電への対応マニュアル[4]依頼者の大規模災害対応マニュアル作成で留意すべき事項[5]データバックアップ等の方策――の5種類がある。このうち実施医療機関の基本マニュアルでは、平時から準備しておくべき体制のほかに、災害発生後急性期の対応や亜急性期・慢性期の対応を記載する方向だ。
CRC養成に関する研究班では、初級CRC、上級CRCとして求められる人材を明らかにし、標準的なカリキュラムを作成していく。
まずは研修実施機関の企画担当者などから情報を収集した上で、2年程度かけて座学プログラムのモデル案を検討していく。