厚生労働省は15日、「一般用医薬品の販売ルール策定作業グループ」(座長:山本隆一・東京大学大学院情報学環・学際情報学府准教授)の初会合を開き、インターネットで一般薬を販売する際のルール作りに向けた議論を開始した。策定されるルールの内容によっては薬事法改正が必要になるため、厚労省は秋の臨時国会への改正法案提出も視野に入れ、9月中の取りまとめを目指す。厚労省は、利用者が求めれば薬剤師や登録販売者が店頭や電話で相談に応じられる体制の整備や、実店舗の写真を添付することをネット販売業者に義務づける案を示したが、意見が分かれた。
会合の冒頭あいさつした、とかしきなおみ厚労政務官は「医薬品の安全性がどのように担保されているかが国民に分かるようなルールを検討してもらいたい」と要望。取りまとめの時期については、「時間が限られているが、秋までに策定していただきたい」とした上で、「両論併記ではなく、しっかりルールを一本化できるような結論にしてほしい」と述べた。
厚労省がこれまでの議論を踏まえ、対応案として示した、対面や電話などで相談に応じられる体制の整備をめぐっては、後藤玄利委員(日本オンラインドラッグ協会理事長)が、多くのネットユーザーは電子メールでのやりとりなど、ウェブ上の対話の中で医薬品購入の際に疑問に感じることを完結させる仕組みを求めていると主張し、「そこにあえて電話を入れる必要はない」と述べた。
増山ゆかり委員(全国薬害被害者団体連絡協議会副代表世話人)は、「パソコンを使い慣れていない人もいる。選択肢があってもいい」とし、電子メールだけでなく電話などでも相談に応じられるようにするべきとの考えを示し、意見は割れた。
厚労省の対応案では、販売サイトに勤務する薬剤師や、登録販売者の名前や顔写真を掲載すると共に、勤務状況をリアルタイムで表示することや、乱用の恐れがある医薬品の販売個数の制限と多量・頻回購入の際の確認、購入者が情報提供の内容を理解した旨を確認した上での販売なども盛り込んでおり、ネット販売のルールを厳格化することにより、既存の対面販売のルールがこれまで以上に厳格になる可能性もある。
この日の会合では、ネットで一般薬の販売を行う時間の定義について、薬剤師などの専門家が利用者の購入希望の意思を確認し、情報収集・提供などを行った上で製品の配送手続きを終えるまでの時間とする方向で意見が一致した。