厚生労働省医薬食品局の佐藤岳幸審査管理課長は16日、専門紙の共同取材に応じ、医薬品と同時開発するコンパニオン診断薬の取り組みを強化していく方針を示し、年内にも個別事例の運用面に関するガイダンスを公表したい考えを明らかにした。コンパニオン診断薬と関連医薬品の承認申請に関しては、既に各都道府県に留意事項を通知しているが、さらに運用面について詳細な考え方を示す必要があると判断した。
厚労省は、7月1日付でコンパニオン診断薬と関連医薬品の承認申請について、留意事項を各都道府県の担当者に通知した。原則として、医薬品と同時期にコンパニオン診断薬を承認申請することや、コンパニオン診断薬の範囲などを示したもので、質疑応答集もまとめた。
佐藤氏は、患者個人の特徴に応じた治療薬の選択を志向する個別化医療の取り組みが進展していることを指摘。「いかに患者さんとその医薬品がマッチするかを調べるためにコンパニオン診断薬があるということであり、安全で効果のある患者さんをスクリーニングするためにも重要な役割を担うので、コンパニオン診断薬の取り組みは強化していかなければならない」との方針を示した。
その上で、コンパニオン診断薬の開発について、「なかなか診断薬メーカーだけに任せるのは、体力的にもリソース的にも難しいと思う。医薬品メーカーが診断薬メーカーをきちんと支援しながら一緒になって同時開発して、ほぼ同時に世の中に出せるのではないか」と述べ、医薬品メーカーの支援が必要との見方を示した。
また、審査業務の進め方について、「これまで審査というと国内問題と考えがちだったが、非常に国際関係が重要な地位を占めてきている。国際化というキーワードで横断的に仕事を進めていきたい」と国際化を推し進める方針を述べた。
国際化に向けては、「もう少し自分たちの仕事が国際的なことを認識しなければいけないということを、常に意識して審査その他の業務に当たることが重要。特に新薬審査の部分では、PMDAのパフォーマンスも上がってきて、審査ラグはほぼ解消できていると思うが、さらに一歩進めて審査の質をもっとパワーアップできるようPMDAに期待したいし、われわれも支援していきたい。その一つがグローバル対応」との考えを示した。今後、日米欧の審査当局でコミュニケーションを深めていくことでグローバル対応を進める。
一方で、高脂血症治療薬「エパデール」のスイッチOTC化をめぐって浮上した生活習慣病領域のスイッチOTCの承認審査見直しについては、「いろいろな状況で、様々な議論がなされている中で、すぐに前に進められる状況にはない」との認識を述べた。