多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、卵巣が腫れてしまう病気で、排卵が難しくなるため、不妊の原因としても知られています。PCOSにかかっている女性は、食事に気を配ることで妊娠率をアップできるという興味深い報告が寄せられました。
(画像はイメージです。 Ambro / Freedigitalphotos.net)
PCOSにかかっている女性では、糖分の代謝が正常に行われないことが多いそうです。このため、古くから食事療法には注目が集まっていましたが、肥満女性が減量するためのプログラムが主流でした。けれども、実際のところではPCOSにかかっていても、健康的な体重を維持している女性が多いのです。
このところ、朝ご飯をたっぷり摂る食事スタイルで、血糖がコントロールでき、結果的に減量の効果が上がるという報告がされていたことが、テルアビブ大学の、Jakubowicz 博士らの発案のきっかけになったそうです。
今回の調査の対象となったのは、PCOSと診断された女性で、BMI値が標準範囲内だった60人です。対象者を、980カロリーの朝食、640カロリーのランチ、190カロリーの夕食を食べる「朝食しっかり組」と、190カロリーの朝食、640カロリーのランチ、980カロリーの夕食を食べる「夕食しっかり組」に分けました。この食事を90日続け、二つのグループの、インスリン、血糖値、テストステロン、排卵、月経などのデータを比較しました。
どちらのグループでも、BMI値に大きな変化はありませんでした。けれども、朝食しっかり組ではインスリン抵抗性と、テストステロンが大幅に減りました。この結果、排卵の確率がアップしたことが、ホルモンの値から明らかになりました。
今回発表された方法であれば、肥満状態にない人も取り入れることができる点が高く評価されています。食事の量とタイミングが、こんなにハッキリと妊娠率に関係するとは驚きですね。(唐土 ミツル)
▼外部リンク
Effects of caloric intake timing on insulin resistance and hyperandrogenism in lean women with polycystic ovary syndrome
http://www.clinsci.org/cs/125/cs1250423.htm