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薬学教育協議会、DI実例モデル教材集開―大学や実務実習での活用想定

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2013年08月16日 AM09:42

薬学教育協議会は文部科学省の委託事業として医薬品情報実例モデル教材集などを開発し、6月から同会ウェブサイトで公開した。病院のDI室における実際の質疑応答事例をもとに、質問の分析から医薬品情報源を選択、評価するプロセスを学習できる。薬学生がDI業務を学ぶ教材として、大学教育や実務実習での活用を想定している。

小川氏

名古屋市で開かれた日本医薬品情報学会学術大会で、開発メンバーの1人、小川雅史氏(大阪大谷大学薬学部実践医療薬学)が同教材集の特徴や開発の背景を解説した。

同教材集は、病院のDI室などにおける約50の質疑応答事例を素材に、実際のDI業務を学べるもの。「高血圧と診断しニソルジピンを投与したが、血小板減少が気になるので調べてほしい」などの問いかけに対して、その質問を分類した上で適切な情報源を選び、必要な情報を収集して評価、提供するまでのプロセスを模擬体験できる。

これらのプロセスの実行に役立つように「調査用アルゴリズム」や「調査用の主な情報源」も作成された。学習者は、この補助ツールを参考にしながら、医薬品添付文書や医薬品インタビューフォームから基本的情報を3次資料、2次資料、1次資料から追加情報を収集、評価して、質問への報告書を作成するまでを体験する。薬学生が、質疑応答事例をもとにDI業務のプロセスを模擬体験し、その結果をもとに大学教員や、医療現場の薬剤師が指導することもできる。

同教材集は同学会のウェブサイトにアップロードされている。対象は薬学生、医薬品情報学教科担当教員、同学会会員など。必要事項を入力すれば活用できる。同学会のウェブサイト上で学習できるほか、エクセルファイルとして出力すればオフライン環境下でも学習可能だ。

同サイトにはこのほか「医薬品情報学教育システム」の一部として、医薬品情報学の基本用語を解説した「医薬品情報学関連用語集」や、自己学習用のダウンロード教材もある。

同教材集や用語集は、文科省の「大学における医療人養成推進等委託事業」の「臨床薬学教科の教材開発」の一環として、薬学教育協議会内に組織された実行委員会が開発した。

小川氏は「多くの薬学部では3年次、4年次に医薬品情報学の基礎を学び、5年次の実務実習で医薬品情報の評価、活用などの実践を学ぶのが一般的。しかし、大学間で医薬品情報学の教育の質や量に差がある。実務実習での医薬品情報の取り扱いや情報源に偏りが見られる」と課題を語った。

全国の薬系大学の医薬品情報学担当教員は各大学に1~2人と少なく、3分の2の大学では教科書を指定していないとし、「教員の専門も様々で、教える内容にもばらつきがある。教材は多岐にわたっている」と指摘。医薬品情報学の教育水準を担保するために、各大学で共通して活用できる教材の開発には大きな意義があることを強調した。

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