「トルバプタン」の新薬承認申請について
※先ほど掲載したニュースに一部誤りがありましたお詫びして訂正します
大塚製薬株式会社は、米国FDA(食品医薬品庁)の心血管・腎臓用薬諮問委員会での、「トルバプタン」の審議結果を発表した。
結果は、試験において良好なリスク・ベネフィットが示されたとの見解を支持が6、不支持9、棄権0、で、常染色体優性多発性嚢胞腎の治療薬としての良好なリスク・ベネフィットが示されていないとの見解が示された。なお心血管・腎臓用薬諮問委員会の見解は新薬承認審査の際に考慮されるが、拘束力はない。
常染色体優性多発性嚢胞腎(ADPKD)は、遺伝性の病気だ。遺伝子の変異によって、腎臓に嚢胞が無数にでき腎臓が肥大、徐々に低下していく。現在は根本的な治療方法はなく、有効な治療薬もない。そのため人工透析か腎移植をしなければいけない。米国では約12万人、日本には約3万1千人の患者さんがいる。
ADPKD治療薬としてトルバプタンの新薬申請を米国食品医薬品庁は受理し、優先審査品目に指定。審査終了目標日は、処方薬ユーザーフィー法によって、9月1日に設定された。
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今後も協議を続けていく予定
トルバプタンは世界初のADPKD進行抑制薬。ADPKDの嚢胞は、バソプレシンがV2-受容体に結合することによって誘導・促進される。作用は、嚢胞の形成、嚢胞液の嚢胞内への分泌、そして嚢胞の成長を加速させ、腎臓の肥大であり、腎不全になる。
トルバプタンは、バソプレシンのV2-受容体への結合を阻害し、cAMPの上昇を抑制。それによって腎臓の嚢胞の増殖と増大を抑え、ADPKDの進行を遅らせる。なお臨床試験では、慢性腎臓病ステージ1~3の患者に対しての有効性が示された。
同社は、トルバプタンはADPKDの新しい治療薬として、患者さんや医師に貢献できると考えており、今回の結果については真摯に受けとめ、今後もFDAと協議を続けるとのこと。(福田絵美子)
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大塚製薬株式会社 ニュースリリース
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