暑い季節には、知らず知らずのうちに脱水に陥り、尿が濃くなることから膀胱炎を起こしやすくなります。
この膀胱炎には、クランベリージュースが効果があることは以前から指摘されていました。実は私も膀胱炎にかかったときに、クランベリージュースを飲むようにお医者さんからすすめられたことがあります。では、どうしてクランベリージュースが効くのでしょうか。
これまでに行われた研究で、クランベリーに含まれるプロアントシアニジン(PACs)という物質が、細菌が尿管の壁にくっつくことを防ぐのではないかとされています。
寒天をつかって尿路感染症の原因となるプロテウス・ミラビリスという細菌にクランベリーの粉末を接触させるとどうなるか調べると、細菌が寒天の中や表面を動き回れなくすることが分かりました。
この細菌が、ウレアーゼという酵素を作り出すと、尿の中に血漿が出来るようになり、更に悪さをするようになります。ところが、細菌にクランベリーの粉末を多く使って濃度を高めるほど、ウレアーゼの産生が抑えられることが分かりました。
このことから、クランベリーを摂ると、尿路感染の原因となる細菌が動き回ったり、感染につながる酵素ウレアーゼを作り出すことを阻止する効果があることが分かりました。動きを抑える働きについては、細菌が泳ぎ回るときに使う鞭毛の一部が減り、「うまく泳げない形」になることが分かりました。
細菌の動きは感染の重要な用途なので、このメカニズムの解明は画期的です。古くから言われていたクランベリーの効果は、このように科学的なエビデンスに基づいたものなのですね。(唐土 ミツル)
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Cranberry impairs selected behaviors essential for virulence in Proteus mirabilis HI4320
http://www.nrcresearchpress.com/doi/