てんかん原因遺伝子SCN1A
理化学研究所脳科学総合研究センター、国立遺伝学研究所などの共同研究グループは乳児難治てんかんで引き金となる抑制性神経細胞を特定し、興奮性神経細胞のナトリウムチャネルに突然死を抑制する効果があることを発見した。
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乳児重症ミオクロニーてんかんは生後1年未満に熱誘起性のけいれん発作で発症し、自閉症や知的障害の合併症に加えてしばしば突然死が起きる。電位依存性ナトリウムチャネルNav1.1を作るSCN1A遺伝子の変異が患者の約8割に認められる。抗てんかん薬でわずかに発作を軽減できるが精神遅滞や自閉症をも対象とする有効な治療法はない。
研究グループは、Nav1.1がパルブアルブミン(PV)陽性抑制性神経細胞で強く発現すること、SCN1A遺伝子を変異させたマウスがてんかんを発症し、自閉症に似た社会性行動の異常と記憶学習障害を示すことをこれまでに報告している。
興奮性神経細胞が症状を悪化
今回、Nav1.1の脳内分布を詳細に解析した。Nav1.1の脳内分布は世界の複数グループによる報告が異なり混乱していたが決着をつける形となった。
また、てんかん発作、運動失調、突然死などの症状を比較した結果、Nav1.1がPV陽性抑制性神経細胞に高濃度に発現すること、特定の興奮性神経細胞にも発現すること、さらにモデルマウスで興奮性神経細胞と抑制性神経細胞でのNav1.1発現の半減がそれぞれ相反する効果をもっていることが明らかになった。今回の知見でPV陽性抑制性神経細胞などに治療のターゲットを絞るべきことがわかった。
今後、研究グループは知的障害や自閉症の発症メカニズムの解明、有効で副作用の少ない治療法の開発を目指していく。(馬野鈴草)
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理化学研究所プレスリリース
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