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筋ジストロフィーのモルフォリノ治療の可能性を広げる成果

読了時間:約 1分7秒
2013年08月11日 PM08:13

モルフォリノ人工核酸を用いた治療

国立精神・神経医療研究センターはモルフォリノ人工核酸が筋線維に高率に取り込まれることを発見し、メロシン欠損型先天性筋ジストロフィーマウスへの応用に成功した。

(Wikiペディアを利用)

デュシェンヌ型筋ジスロトフィー(DMD)はジストロフィン遺伝子の変異でジストロフィン・タンパク質が失われて発症する。一方、メロシン欠損型先天性筋ジストロフィーはLAMA2遺伝子の変異でメロシンタンパク質が失われる。

現在、エクソン・スキップ治療の国際共同治験が進行している。遺伝子治療と異なり、モルフォリノ人工核酸でアミノ酸読み取り枠のずれを修正する治療で、タンパク質の回復でジストロフィン欠損による筋機能が改善する。しかし治療用量の設定が難しく、ジストロフィンを欠損していないDMD以外の筋疾患への応用は困難とされる。

モルフォリノ人工核酸の可能性を広げる

研究グループは、筋再生過程で取り込まれるモルフォリノ人工核酸を調べた結果、ジストロフィン欠損筋がモルフォリノ人工核酸を取り込みやすく、再生初期の筋線維に高い効率で取り込まれることがわかった。さらに、ジストロフィン欠損筋と同様に正常筋でも取り込まれ、ジストロフィンの有無に関係なく取り込まれることも明らかになった。

研究ではメロシン欠損型先天性筋ジストロフィーマウスがモルフォリノ人工核酸により治療できる可能性を実証した。また、筋再生が活発なDMD以外の筋ジストロフィーにモルフォリノ人工核酸を用いた治療法が応用できる可能性も示した。

今後は、モルフォリノ人工核酸が筋線維への導入に関わる分子機序を明らかにし細胞への導入効率を高めれば、筋ジストロフィーや難治性の神経筋疾患への応用が期待できる。(馬野鈴草)

▼外部リンク

国立精神・神経医療研究センタープレスリリース
http://www.ncnp.go.jp/

 

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