イノシトール三リン酸受容体欠損により小脳失調症状
独立行政法人理化学研究所は8月1日、成熟したマウスの脳で神経経路を制御する仕組みを解明したと発表した。この研究成果はアメリカの科学雑誌「The Journal of Neuroscience」7月24日号に掲載されている。
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イノシトール三リン酸受容体を欠損させたマウスを作成したところ、6週齢からふらつくといった歩行障害などが現れ、週齢が進むにつれて重症化が見られた。解析の結果、これらの小脳失調症状が現れる時期と、プルキンエ細胞のイノシトール三リン酸受容体の発現消失時期が一致することがわかった。
またイノシトール三リン酸受容体欠損マウスの小脳の形態について調べた結果、小脳の萎縮やプルキンエ細胞の細胞の脱落は見られなかったもののプルキンエ細胞の形態についてスパインの数に異常が見られた。このスパインの異常は3週齢では確認されないことから、成熟してから生じたものとされる。
これらからイノシトール三リン酸受容体の欠損がスパインを異常に増加させ、小脳の失調を発症させることが明らかになった。
脊髄小脳変性症治療に期待
研究グループはこの成果について
発症メカニズムが不明であり、有効な治療法がなかった脊髄小脳変性症の病態を理解する上でも重要な発見であり、治療法の確立につながる可能性を秘めています。(独立行政法人理化学研究所発表記事より引用)
としている。
▼外部リンク
独立行政法人理化学研究所 発表記事
http://www.riken.jp/pr/press/2013/20130801_1/