■PMDA調査
保険薬局で常時在庫医薬品の安全性情報を「十分に管理できていない」と回答した施設が52%に上ることが、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が実施した調査で分かった。薬局は自ら安全性情報を入手、管理している施設が大半で、管理が不十分な理由としては「調剤業務で手いっぱいであり、人員不足」が最も多かった。処方箋応需枚数が多いほど、安全性情報を十分に管理できていないと考えている薬局が多い傾向にあった。
調査は、医療機関と薬局における医薬品安全性情報の入手、活用状況等を把握するため、今年1~2月にかけて全国の8541病院、保険薬局の半数2万6915施設を対象に行ったもの。今回から保険薬局も調査対象に追加した。
インターネットの活用状況を見ると、病院では頻繁に利用しているのが62・8%だったが、保険薬局は38・6%にとどまり、保険薬局は安全性情報収集でインターネットの利用頻度が低い傾向があった。
PMDAメディナビについて、医薬品安全責任管理者の登録状況を見ると、病院では58・6%が登録していたのに対し、保険薬局では32・0%だった。
保険薬局における安全性情報の入手、伝達、活用体制については、「自薬局で入手した情報を薬局内に周知している」のが67・3%に上った。その情報源は、製薬企業のMRが58・8%、製薬企業のダイレクトメールが56・1%と多く、PMDAメディナビは11・9%にとどまった。
こうした体制で常時在庫医薬品の安全性情報を十分に管理できているか尋ねると、「十分に管理できていない」と考えている施設が52%と約半数を占め、その理由としては「調剤業務で手いっぱいであり、人員不足」が64・1%と最も多かった。次いで「扱う医薬品の数が多いため」が挙げられ、多忙によって在庫医薬品の安全性情報が十分に管理できていないと考えている薬局が多い実態が明らかになった。
病院と保険薬局で実施している薬薬連携の取り組みを尋ねたところ、病院からは「院外の薬局への新規採用薬などの薬局調剤に必要な情報の提供」が48・0%、保険薬局からは「病院・診療所への後発品の処方変更情報の提供」が53・1%と最も多く見られた。保険薬局の17・0%は、検査値や病名などの患者情報の提供、入手を行っており、より良い処方監査を行うために、患者の疾患名や臨床検査値に関する情報把握も必要と考えている施設が多いことも分かった。
さらに、院外処方薬の安全性情報管理について、院外処方箋を発行している施設の91%で院外採用薬が用いられていることが判明。そのうち34%の施設では制限を設けていなかった。こうした院外採用薬の安全性情報について、「十分に管理できている」と考えている施設は23%にとどまり、その理由としては「院外の薬局に任せているため」が多かった。