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国立循環器病研究センター、薬剤師の在宅業務を支援―被災地で心不全関連研修

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2013年08月07日 AM09:45

(NCVC)は、厚生労働科学研究「被災地における心不全患者の在宅療法に関する研究」の一環として、東日本大震災の被災地、宮城県をモデル地域に薬局薬剤師が在宅医療の現場で十分な役割を果たせるよう支援する。慢性心不全患者の症状変化や副作用発現を薬剤師が早期に発見できるように、フィジカルアセスメント研修や講習を今年度3回開催する。

塩分摂取率が高い東北地方ではもともと循環器疾患の発症率は高い上、東日本大震災以降、被災地での心不全、急性冠症候群、脳卒中などの患者数が増加。循環器疾患患者に充実した医療を提供することが課題になっている。地方では慢性的な医師不足が続いており、研究班は、地域医療を担う医療スタッフの一員として薬局薬剤師の活用に着目した。

慢性心不全は主に薬物療法によってコントロールする。症状の変化を早期に発見し、医師への受診など適切な対応をとることによって急性心不全への悪化を防いだり、副作用を早期に発見し対処することによって薬物療法の中断を防いだりする必要がある。在宅医療の現場で医師と連携しながら、薬剤師がこのような役割を十分に果たすことによって、循環器疾患患者が日常生活を保ちながら自宅で長く暮らし続けられる地域モデルづくりを目指す。

モデル地域として設定した宮城県の薬局薬剤師を対象に、循環器疾患に関連する講習とフィジカルアセスメント研修を、9月15日、10月13日、12月15日の3回、宮城県薬剤師会館で実施する。

当日は、福島県立医科大学の医師による導入講義、NCVCの医師による問診技術を含んだ副作用早期発見のための講義のほか、むくみや脈拍などの評価法を学ぶフィジカルアセスメント研修、グループ実習が行われる。

このほか、在宅医療の現場で患者や家族、医療スタッフがスマートフォンを用いてウェブ上で情報を管理、共有化する「循環器病管理システム・生活習慣病管理システム」(仮称)も今後、薬局薬剤師に活用してもらう計画だ。

同システムは、心不全特有の症状の有無、塩分摂取量や血圧、体重変化などをビジュアルで表示し、セルフケア行動尺度を併用することで、患者や家族の自己管理を促すもの。薬剤師ら医療スタッフがその情報を共有し、活用する。現在、国立循環器病研究センターが開発を進めているところだ。

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